
2月13日の夜、フィッシングショーYOKOHAMA 出展のために横浜に滞在していたワタシは、ひさしぶりに古い友達のjoe's(ジョー)さんと会った。joe'sさんは本名をヒグチといい、ヒグチだからjoe'sだという今となってはなかなかわかってもらえない理由でハンドルをつけた方なのだが、つきあいは相当古い。
もともと、パソコン通信のニフティ釣りフォーラム時代、山田一郎SYSOPの下で一緒にSUBSYSをやり、その後、ワタシがSYSOPをやらせてもらっている間は、淡水釣り系の会議室を担当してくださっていた。その間、波瀾万丈、疾風怒濤の運営物語があるのだが、これも今となってはなかなか話してもわかってもらえないだろうから、今後も一切、誰にも語るつもりはない。
ただ、ナミダ目になって歯を食いしばって耐えた日々があり、それに倍して、晴れて朗らかなヨロコビの日々もあり、その一切をお互いに路傍に置き捨てて、とりあえずそれぞれの道を歩んでいるわけである。
そのjoe'sさんの口から「スーパースワンを作りたいのだが・・・」という声がもれた。はるかな昔、わざわざ宮崎まで来られて、joe'sさんはスーパースワンの音を聴いたことがある。
スーパースワンというのは、故長岡鉄男師が設計したオーディオ用のスピーカーシステムで、10cmフルレンジを1発だけ使う。音源が一つなので定位は抜群、バッフル面積が最小のため音場感も抜群、さらにFE108Sという超強力ユニットのおかげで反応が速いため、とにかく音の立ち上がりが速い。
2ウエイ、3ウエイシステムに必須のネットワークが皆無なので、ネットワークによる音質劣化や位相のずれもない。ただし、このままでは低音がまったく出ないので、バックロードホーンで補っている。写真下部の箱の中は、折り曲げホーンになっており、ユニット背面から出る音のうち低音成分だけを増強して箱の背面から出す。
オーディオは音や音像、音場という、実体のない脳内イメージの世界であり、それをまた人の耳という、きわめてあてにならないものを頼りに、ああだこうだいう趣味であるから、好みは千差万別であり、これが世界一だという人も大勢いる代りに、あんなものはゴミ以下だという人も大勢いる。ワタシは世界一だとは思わないけれど、制作して15年もたつのに、なかなかこれに代わるものが見つからないで困っている。つまり、そのくらいの美点は認め、感じてもいる。
joe'sさんも、なにがしかの美点を認め、感じて、これを作ってみようかと思っているらしい。それならということで、何か書いてみることにした。
前置きが超長い(笑)。
スーパースワンは長岡師の600を超えるというスピーカーシステムのうち、人気投票で不動の一位を占める傑作である。ただし、発表は1992年で、その年にフォステクスで600個ほど生産されたFE108Sというユニットに合わせて設計されたものだから、この年に制作できた人は最大でも300人しかいないことになる。買ったきりオクラになったり、別の使い方をしたものもあるだろうから、実質200人というところか。
FE108Sは、その後、6N-FE108S、FE108ES、FE108ES2と、後継機種が発表されたのだが、それぞれやはり数百個という単位であり、現在、スーパースワンを作ろうとすれば、どうしてもユニットがネックになる。ありえないほどでっかいマグネットを背負った超高能率な10cmユニットなど、箱を自作することができ、しかもバックロードホーンが好きという人以外には使い途がないので、いかに名作ユニットといえども、フォステクスもそうたくさん生産するわけにはいかない。
こういうユニットを普通の密閉やバスレフの箱に入れると、それはシャワーを浴びるような爽快な音はするだろうけれど、低音不足で音楽を聴くのは無理だ。マグネットが強力すぎて、振動板をめちゃくちゃ強力に制動するため、共振による低音を稼ぐことができない。これらの限定ユニットは、バックロードホーン専用なわけである。そして、新品での入手は不可能。
オークションで買うとすれば、FE108ES2か、ちょっと小ぶりのFE88ES-Rが合いそうだが、出品が少なくなかなか高価だ。昨年700台限定でリリースされたマグネシウム振動板をもつMG100HR-Sは、やや非力のため、スーパースワンに入れると低域がゆるくなる傾向があるらしいので、これもベストではない。
そこで、妥協が必要になってくる。現行のユニットで普通に手に入るものとして、FE108EΣというものがある。FE108Sシリーズと比べれば、力不足は明らかではあるけれど、一応、バックロードホーンで使える。というか、レギュラーユニットではこれ一択である。美点もあって、とにかく高音が良く伸びる。振動板の材質が変って、昔いわれた紙臭さも少ない。
多少の非力さは承知の上で、こいつを無理やりスーパースワンの箱に入れて、あとはしらんぷりをするというのも悪くない選択だろうと思う。または、スーパースワン(D101S)の前に発表された、スワンa(D101a)を作る。こちらはFE108EΣの先祖であるFE106Σ用に設計されたものだから、より向いているはずだ。ただし、前面の補強板がない設計のため、なんだかのっぺらぼうに見えてしまうので、これは別途つけた方がルックス的に収まりが良さそうだ。
ちなみに、バックロードホーンの場合、箱に対してユニットが非力(正確にはマグネットによる駆動力の不足でホーンをドライブしきれない状態)だと、ホーンが鳴りっぱなしになって押さえが効かず、そのせいで低域が過剰でしまりが悪く、中音が引っ込んで、全体にスピード感が不足する傾向がある。いわゆる中抜けのローブーストなのだが、それがどの程度のものかはやってみなくてはわからない。
で、スーパースワンの作り方。
1)スーパースワン、またはスワンaの図面を手に入れる。
2)その図面を持って東急ハンズへ行き、板材(シナベニア15mm)をカットしてもらう。カット材は宅急便で送ってもらうこともできるはず。もしくは、MAKIZOUなどスピーカー専門のカットメーカーに依頼する。
3)秋葉原へ行き、コイズミ無線でFE108EΣをゲット。ネットでも買える。
4)作る。
と、きわめておおまか流れとしては、こんな感じになる。
必要な小物、道具類は。
<ユニットまわり>
●スピーカーターミナル
●吸音材
●内部配線材
●半田、半田ごて
●プラスドライバー
<エンクロージャーまわり>
●木工ボンド(アメリカ製のタイトボンドがおすすめ)
●サンドペーパー(80番、120番、240番、400番、600番)
●塗料(透明ウレタンが無難かも)
●釘(合釘が便利かも)
●金づち
●電動ドリル(DIYでレンタルも可)
●各種オモシ
※注意点しては、腰を痛めないように気をつける(笑)。
<参考>
コイズミ無線
MAKIZOU
スワンaとその仲間
だいたい、こんなところです。joe'sさん。
ちなみにjoe'sさんは、現在はタコの介といった方が通りが良い。関東の沖釣り専門誌「つり丸」の樋口編集長がこの人で、ワタシはどういう縁だか、この人を初めて手漕ぎゴムボートに乗せて一緒に波をかぶったことがあったのだった。