2012年3月12日

本>歴史はべき乗則で動く

『歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学』
マーク・ブキャナン著・ハヤカワ文庫

この本で学んだのは、「臨界状態(概念的な意味での)においては、平均が意味をなさない」ということ。そして、世の中のたいていのことは、この臨界状態・非平衡な状態にあるということ。

株価の動き、地震の規模、森林火災、生物の大絶滅といったものに、平均的なスケールというものはなくて、その発生回数と規模をグラフにすると、いわゆる「n乗に反比例する」直線グラフとなる。

言えることは大きな山火事は少なくて、小さな山火事は多いということだけで、その中間というものはなく、典型と呼べるものもない。そして、次に起こる事柄の規模についての予測は不可能である。

一方、平均が有効なのは釣り鐘型のグラフだ。真ん中が厚くて、それ以上も以下も薄い。グラフのど真ん中をとってくれば、それが一応の典型という言い方もできるだろう。

さて、ぼくらが「普通は」とか「みんなが」と無意識に口にする時、その事象はどちらのグラフなのだろうか。割り切れないものまで無理やり割り切ることで、安心しようとしていなかったか。それは、誤りであるだけでなく、人や自分を傷つけてはこなかっただろうか。

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