2010年6月11日

郵政改革法案

なんかまた、ややこしい話を書こうとしているな...。

菅首相が今国会での郵政改革法案の成立を見送り、それに反発して亀井静香郵政改革担当相が辞任。でも国民新党は連立政権に残る。というニュースが伝わってきた。

郵政については、もはや何がなんだかわからなくなってきそうなのだが、今いっている郵政改革とは、小泉政権下における郵政民営化法案を、また改革しようという法案である。改革というのは言葉のアヤで、実際のところ郵政民営化自体が道半ばのところへもってきて、あれではいかんから民営化をやめて国営化の方に舵を切るぞというお話。

そもそも郵政には、300兆円にのぼる「国民の」お金が流れこんでいた。つまり国が、国民から税金以外にそれだけのお金を吸収して運営。それをまた政府系の特殊法人等に融資したり、いわゆる財政投融資の財源にもなってきた。国債の最大の引き受け手でもある。つまり、国が発行する国債を、国民から集めたお金で買うというマッチポンプだ。

それではまともな金融は育たないのではないか。300兆円のお金が民間に流れれば、どれだけ金融はしっかりするか。さらに、郵政の名を借りた巨大国家金融というものがいつまでも続き、利権と天下りの温床になっているのはおかしいのではないか、というのが小泉氏の主張であり、その結果が2005年郵政選挙の自民党大勝だったわけである。

それを政党支持率が1%にも満たない国民新党と、支持母体に全郵政をもつ民主党が、それぞれの目先の理由から覆すというのは、どう考えても理屈に合わないと思うのだが、今、これに異を唱える人が少ないのは、どういうことなのかと思う。

5年前の状況については、こちらの日記に書いてあった。
http://jun.fishing-forum.org/2005/08/post-248.html

どうも不思議なのは国民新党が、なぜ今国会の成立にこだわったかということだった。もともと、小泉郵政改革を元に戻すための、郵政改革法案を成立させることこそが、国民新党の立党の目的であったはずで、これが成立してしまえば、もはや参議院選挙を戦う旗印もなくなるのではないのかと。

ここ数日、連立離脱をほのめかしながら、民主党に法案成立を強く迫っていたのは、あるいは単なるポーズ、駆け引きの類だったのかもしれないと、あまりにも物わかりのいい「政権残留」の報を聞いて、ガテンがいったような気がする。

かつては、自民党総裁選挙に二度も立候補するほどの勢いがありながら、小泉氏によって抵抗勢力の親玉にされてしまった亀井静香氏も、もう73歳。昨年選挙では、国民新党代表の綿貫民輔氏のまさかの落選によって、はからずも党代表となり、さらに思いがけず郵政改革担当相に就任して、この法案の成立を当座の、もしかすると最後の華と考えても不思議はないかもしれない。

しかし、「その後」をどうするつもりなのかなと、人ごとながらちょっと考えてしまう。

これだけ財政赤字がふくらんでくると、花より団子で郵政国営化によって見えない予算を確保する流れに、目をつぶる向きも出てくるのだろうけれど、どうも正論には遠い。繰りかえすが、彼らが手にしようとしているのは、税金ではない国民の、民間のお金であり、バブル崩壊以降、沈黙の20年といわれる中で民間金融はリストラに耐えてきたのだから。

もう一点、最近の流れで不気味なのは、規制緩和の動きが止まって、あきれるほど規制強化に向かっているということ。一例を挙げると、建築基準法強化による建設業の倒産、貸金法改正による消費者金融業者の倒産によって、日本経済がどれだけの被害を受けたか。官から民へ一歩進んだはずなのに、その数倍のカウンターがきているようなのだ。

ここ数代の内閣で政治が稚拙なことを繰り返しているうちに、官はいつのまにか...、という流れなのかなと思う。

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コメント

難しい話は、到底理解ができないのだけど ^^;、最後のくだり、規制強化のあたりは、身につまされて感じてます。特に、クレジット。いわゆるローンですけど、今までのユルユルの何でもありから、いきなり厳しくなったので通すのがとても面倒になってきました。信販の申込用紙なんて今までホント適当で通ってたのが(そもそもそれがおかしいのだけど・・)キッチリ隅から隅まで正確に書かないと受け付けもしてくれなくなった。まあ、建築基準法にしたって、本来はキッチリ厳しく・・・が当たり前なのでしょうけど、実際現場では、抜け道があったりしてシステムその物に欠陥があるような気がしてなりません。^^;

サルモサラーさん

そういえば、薬事法の改正というのもありましたね。
私、けっこう楽天で薬を買っていたので(ガスターとか、なかなか近所にないので)、
これはかなり影響大でありました。

身近なところでいうと、これまで無料だった船の係留が
今年から有料になり、その説明会があったのですが、
「施設管理および人件費のため」というのが名目になっていました。

施設管理といっても、岸壁があるだけで管理するものもないですし、
人件費といっても誰か岸壁に常駐するわけでもなくて、
要するに「お金を徴収するから、そのお金を管理するための人件費」
なのだそうです。

これ、役人の面目躍如というところで、思わず吹いてしまいました笑。

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