2012年1月19日

インチク大作戦

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鯛ラバ・インチクと、一口で語られるわりには「鯛ラバはやったことがあるけど、インチクは...」という人が、けっこう多いのではないかと思う。ぼくも、それほど経験がない。

どちらも、元は漁師の道具である。鯛ラバは九州の鯛カブラや四国のゴンク釣りを原型に、6年ほど前に関西で始まった。インチクは日本海の漁師のもので、こちらは数十年の歴史があるという。

大きなちがいは、鯛ラバがもともとはエビやイソメをつけていた仕掛けを、餌なしで、つまりルアーのように使ってみたら釣れちゃった、というものであるのに対して、インチクは最初からルアーであったことだ。

発展の仕方もずいぶんちがって、鯛ラバは多くのメーカーが工夫を凝らして百家争鳴、百花繚乱、にぎやかにその思想とバリエーションを競っているのに対して、インチクは一部の例外をのぞいて、インチクのままである。つまり数十年、オモリの下にタコベイトがつくという形を、ほとんど変えていない。

こんな具合に、起源も発展もまるで異なる、いわば赤の他人といったような道具なのだが、その釣り方はまったく同じで、底まで落としたら、何もしないで適当に巻き上げてくればよい。

竿もリールも糸の太さも、両者同じ。2012年現在、竿はライトジギングロッドもしくは船用のライトタックルロッドもしくは鯛ラバロッド、リールは小型のベイトリール、糸はPE0.8号~2号というのが標準になっている。

では実際に使ってみて何がちがうのかというと、実際のところ、そのちがいはごく小さいように思われる。同じような魚が、同じように釣れる。

コンディションによっては、マダイは鯛ラバの方が有利という人もいる。青物ならインチクでしょうという人もいる。そうかもしれないけれど、「若干」の範囲ではないか。 インチクでも、もちろんマダイは釣れるし、DANGOという鯛ラバを開発していた時、テスト釣行のたびに異様なほどに(時に同乗のジギングを上回るほど)青物が釣れて、理由がわからなくて困ったこともあった。

どちらもビギナーでも楽しめる。初めて船に乗る小学生でも女性でもOKである。堤防のサビキ釣りより、ある意味では危険度も低い。ただ、鯛ラバの方はリールを巻く時に、あまりぎくしゃくとやりたくない。船の揺れもなるべく鯛ラバに影響させたくない気もする。あくまで一定の速度で、しずしずと巻いてきたいのである。

インチクの方は、そこらへん、もっとおおらかでよさそうだから、よりビギナーに向いているのはインチクの方だと、これも「若干」の範囲ではあるけれど、そういえるのかもしれない。根がかりもちょっとだけインチクの方が少なそうだ。

さて、鯛ラバの原型の鯛カブラやゴンク仕掛けは、もともと遊動式だったのだが、これが製品化されて鯛ラバとしてデビューした時、なぜか固定式になっていた。

おそらくルアーを意識して、スナップで格好よく交換できますだとか、ジグからワンタッチで交換してお楽しみください、といったような考えがメーカーにあったのではないかと思う。

もうひとつの理由として、高密度なタングステン素材を使う場合、穴開けの精度やバリとりが大変だったということもあるのかもしれない。

それが先祖返りして遊動式になったのが、セブンスライドでありGear-LabのDANGOであるわけだけど、これ、一度使ってしまったらもう固定式には戻れない。詳細は省くけれど、そのくらい具合がよいのである。

ただ、ひとつ大きな欠点があって、「遊動式はサビキと一緒に使えない」のだ(笑)。

固定式であれば、一番下に鯛ラバをもってきて、その上にサビキをつなげば、その海域にどんな魚がいるのか探索する、最高のパイロットルアーになる。これほど凄いパイロットルアーは世界中探してもないのではないか。

今回、新しい海域で釣りを始めるにあたって、まずはどんな魚がいるのか探索しようと思っているのだが、今さら固定式の鯛ラバには戻れないので、この際、インチクを始めてみることにしたのだった。 インチクサビキである。

長文のわりには、邪道な話で申し訳なし(笑)。

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