年の瀬の門川沖
暮れも押しつまって何かと家の用やらもありそうなものを、のこのこと釣りに出かけるような人を関西では「極道」というらしい。ちゃんとした釣り極道は、大晦日には必ず行くのだという。
そんなわけで、あるぽさん、勝三郎さん、私のプチ極道3人組は整備のすんだ済んだ富美丸に乗って門川沖である。
今日の宮崎県北部の予報は「北西のち北東の風。海上は北西の風やや強く。波高1.5m。強風注意報発令中」だった。舷側も馬力も低い富美丸にとって「やや強く」というのは「ものすげー強い」という意味であり、「強風注意報」は、「強風警報」に匹敵する。ふだんならまず出さないのだけれど、地形的に北西風なら風裏ではあるなということで、とりあえず行ってみた。
正月用の魚を釣りに。というのが、ささやかなテーマである。そんなひまがあるなら、掃除をしろだの餅をつけだのという家の声などに耳を貸すわけにはいかない。何しろ、こちとら極道なのだからな。海の極道は、師走の風を海の上で受けているべきなのである。
富美丸は「でんでこ、でんでこ」と快調なエンジン音をたてて、港を抜けていく。最大連続運転3100回転、と船体に貼り付けたプレートに書いてあるのだが、まあ、こないだのこともあるし、今日は最大2500回転と考えて、巡航2200回転で走ることにした。そうすると船速は7ノットくらいである。時速12キロである。いわば、ママチャリでビロウ島へ行くようなものである。
普通の船の半分以下の速度なのだが、その代わり燃費は1日遊んで500円くらいなのだから、こんな船も悪くないかも、という人がいないともかぎらない。そしてこの船は、走っている時はともかく、エンジンを切って流れている時は、最高の釣船なのだ。風が強くても比較的ゆっくりと流れ、それも風に対して直角に流れていくので、片舷で何人かで糸を出しても、まっすぐ自分の前に仕掛けが落ちていく。
ビロウ島と中バエの間にある中瀬は、そこを流しさえすれば釣れる感じだったけれど、そこは吹き抜けになっているために、時折、かなり強い風が吹いて、海上にはウサギ(の子くらい?)が走る。そこを胴流しで釣るものだから、真横からまともに波風を受けるわけで...。
釣果はマダイ1、オオモンハタ3(最大50cmくらい)。勝三郎さんが釣った40cmくらいありそうな巨大アカハタは、なんともうまそうだった。3人とも鯛ラバ・インチクのみ。この釣りは、何しろシンプルで簡単なのだが、操船する立場でも竿を出す立場でも、いろいろ面白いので、しばらくメインになるのだろうと思う。
※写真は、あるぽさんが撮られたものです。
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