ナステックの那須さん
先日、あるぽさん、勝三郎さんと門川から出船したのだけれど、まだ港の堤防を出ないうちに冷却水ランプと警告ブザーがオーバーヒートの危険を知らせ、そのままお帰りとなったのだった。
ランプは数分もしないうちに消えたので、たいしたことはないかなとも思ったのだけど、おそるおそる1000回転未満の超微速。速度にすれば2ノットくらい。それでも、しばらく行くとまた警告音が鳴り、これはけっこうまずいかもしんない、という雰囲気であった。
富美丸を係留している日向市梶木の船着き場の、道路をはさんだすぐそばにナステックというトーハツを主に扱っているマリンショップがある。
マリンショップといっても、小さなプレハブが建っているきりで、那須さんという方が一人でやっている。梶木の船着き場の連中は、この人にお世話になっている人が多い。私の場合など、この人がいないとどうにもならないというくらい、全面的にお世話になり、面倒をみていただいている。この人がいるかぎり、梶木を離れるつもりはないというくらいなのだ。
で、翌日、電話をかけてみた。
「おひさしぶりです。さっそくですが、昨日、冷却水ランプがついちゃって」
「あららら」
「港の出口付近で2500回転まで上げたところでした」
「インペラか、海水取り入れ口に何かつまったかでしょうかね」
「インペラ交換したばかりだから、劣化ではないでしょうね。何かで壊れたかな」
「まあ、とにかくみてみますから」
「お願いします。ついでにあれですけど」
「何?」
「船のキーが見当たらないんで、もしかすると船につかっぱなしかも」
「そら、面倒がなくていいですね。後で見にいきますから」
翌日、那須さんから電話。
「あれね、陸揚げして詳しく見てみますわ」
「はい」
「冷却水が出たり出なかったりしよるから、ぱっと見ではわからんかった」
「よろしくお願いします」
「年内目標ではやりますけどね。ただ、メンテの船がつまっとる」
「はあ」
「みんな、正月に釣りをするつもりじゃね。あなたも正月には乗りたかろう」
「できれば」
「じゃあ、急がんとね。循環系を一通り見て、整備しておくから」
「よろしくお願いします」
と、まあこんなやりとりが、電話1本で済んでしまうわけである。なんとかマリーナという立派なドックのついた係留地ではない。もとはただの川であり、船主がみんなで組合を作って、所有者の県と交渉し、自主的に管理をしながら船を停めているところなので、いわばタダの場所である。
その数十メートル脇にこんな人が常駐していて、みんなの困ったことを一人で引き受けてくれるというのは、幸運としかいいようがない。
おそらくもともとは職人肌で、気むずかしいところもあるにちがいないのだが、それでも仕事命という感じもしない。そこは宮崎の人であるから、あくまで自分のペースである。こちらも同様なので、まかせたものはまかせてしまう。特に時間については、出来上がった時が出来上がった時でよろしい。お金についても、無茶な話にはならないことはわかっているので、おまかせしている。
船をもつということは、こういう人とつきあうということでもある。いい人がいてくれて、ほんとによかったなと思う。
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