映画>ガリバーとピンクパンサー
本日も二本立て。プロジェクターの最大の欠点は、暗くならないと視聴できないことなのだけど(完全遮光すればOKだけど、うちの場合、部屋の構造的に無理っぽい)、最近は夜が長いので、映画を観るにはいい季節になった。
『ガリバー旅行記』(ロブ・レターマン監督/2011)。
フルHDプロジェクターの最初に観るBlu-ray作品がこれというのも、なんだかなという気もしないでもないけれど、ジャック・ブラックには『スクール・オブ・ロック』でいかれてしまったので、早いとこ観たかった。
ニューヨークの出版社のメール係であるガリバーが(監督がレターマンだからメール係なのかな)、いんちきなレポートを編集局に提出してライターの仕事をせしめ、バミューダ海域へ単身ボートで乗り出していったところ、いつのまにか「小さな人々の国」にまぎれこんで...、という、例のお話。
とにもかくにも現代の映像技術でガリバーを作れば、このくらいのことは楽勝なんだろうけど、そういうこと以上に、ばかばかしさが際だっていて、もうなんともばかばかしくて楽しい。実はこういう映画は大好きなのである。
『暗闇でドッキリ』(ブレイク・エドワーズ監督/1964)。
ピーター・セラーズのピンクパンサーシリーズとしては2作目。1作目の『ピンクの豹』のスピンオフ企画として、クルーゾー警部を準主役から主役にもってきた作品らしい。
だからぼくたちが知る、あの親たちの世代が笑い転げていたピンクパンサーの、これが実質的な第一作といえるのかもしれない。ピンクパンサー4(1978)までが、ピーター・セラーズが生きている間に作られたもので、以降は生前の映像による再編集版となっている。
レンタルで観られるのは、この映画だけであり、実にもったいないと思う。60年代の、あのはちゃめちゃな空気感、あの時代のパリの風景や走っている車までが、今となっては懐かしい。
あくまで二の線によるコメディである。クルーゾー警部は、ほとんど笑顔を見せることはない。笑っているのは、スクリーンのこちら側の人間だけなのだ。思えばチャップリンもそうだったし、バスター・キートンなんかは、端正な二枚目の顔立ちで、表情ひとつ変えないで観客を爆笑させていた。
今、日本にもこんなコメディ映画を撮れる俳優がいたらなあと思うのだけど、たぶん俳優だけではだめなんだろう。それを撮れる監督も必要だし、何より時代というものがある。
ぼくが古い作品ばかり観ているので、「ちょっとは現代のも観ろよ」といってくれる人もいるのだけど、公開当時は「現代」であったものが、時代を経ることでタイムマシンになることがあって、それがなんとも楽しかったりする。ピンクパンサーもそろそろそんな作品になってきたようだ。
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