2011年9月27日

再びどてら流しについて

どうもどてら流しという言葉が、今年の流行語大賞エギング部門第一位に輝きそうな勢いなので、この言葉を使うことにする。プロの言葉を、口まねするようで変な感じなのだけど仕方ない。

WEBを眺めてみると「ティップランエギングの基本はどてら流しです」ということになっている。そしてタックルや細かい釣法の話が続くわけだけれど、ちょいとちょいと。なのである。

どてら流しができる船って、そんなにどこにでもあるわけではない。先にも書いたように、船が風に対してどう流れるかというのは、風を受ける船体の上部構造物の面積中心と、潮を受ける喫水下の面積中心の位置で決まる。

たいていの船は、喫水下の面積中心より上部構造物の面積中心が前にあるため、船は風を受けると船首が落ちて、船尾を風上に向けて流れることになる。だから、どてら流し(風に対して直角に流れていく)はできないか、できても秒の単位にしかなりそうにない。

ゴムボート、カートップボート、和船は上にほとんど何もない船なので、おそらくたいていは大丈夫。プレジャーボートでも、ヤマハYF-23とF.A.S.T26は例外的に風流れ特性が良いとされている。それ以外の船は、流してみないとわからない。

fumimaru0926.jpg

ボートエギングの記事を書く人は、ここらのことをちゃんと書いておかないと、うっかり道具を買っちゃったけど、どてら流しなんかできないじゃん。となるのではないか。あるいは、さらにうっかりした人は、道具と一緒に船まで買ってしまうかもしれない(笑)。

ルアー系の遊漁船に顕著な傾向だけれど、ベースはたいていヤマハの和船で、W-25なんか多い。コンソールはずいぶん後ろに寄っていて、かっこ悪いといえばかっこ悪いのだが、その分、前が広々しているのでキャスティングに向いている。そして同時に、風流れ特性は素晴らしいはずだ。セブンスライドの「セブン」は、キャロライナスキッフの27ftだけれど、あれもデザインは和船そのものだ。

seven350.jpg

ティップランの基本がどてら流しであるなら、そのもっとも大切なアイテムは「どてら流しができる船」であり、ロッドだのエギだの釣法だのは、優先順位としては、靴はデッキシューズがいいかクロックスにするかというのと同じくらい低い。とりあえず、お好みでといっていいくらいの話だと思う。

では、船尾流しではティップランはできないかというと、そうでもないだろう。要は船尾方向から投げればよい。だけど二人までだろうし、不安定な流れ方ではあるので、左右にふれそうな感じもする。

たいていの船釣りの場合、釣果という以前に、釣りを成立させる要素は、船・装備・船長が7割、釣り人やタックルが3割くらいの感じになると思う。

「マイボートでお気楽ティップラン」というのは、船の条件が揃ってからの話なんよ。ということ、わかっている人はちゃんと書いておくのがいいと思うのだけどな。

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