2011年6月 8日

ポール・サイモン・アンド・フレンズ(Blu-ray)

人が人を心からリスペクトするというのは、いいものである。ここに出てくるポール・サイモンの友人たちは、一人ひとりがみなすごいミュージシャンなのだけど、緊張と感激とリスペクトで胸をいっぱいにしていて、それを見ているだけで、こちらも胸がいっぱいになってくる。

2007年、ポール・サイモンが第一回ジョージ・ガーシュイン賞を受賞した記念に行われたコンサートのライブ。DVDとBlu-rayがあるけれど、それはもう文句なくBlu-rayがおすすめ。信じられないくらいに画質がいいし、音もいい。演奏も素晴らしい。

何しろ、ジェームス・テイラーが「スリップ・スライディング・アウエイ」を歌うのである。ポールとジョージ・ハリスンが、「早く家に帰りたい」を歌うのである。スティービー・ワンダーが「母からの愛のように」を歌うのである。あのジェシー・ディクスン・シンガースも出てくる。もちろん、アートも。ドラムは全編通して、あのライオンのようなスティーブ・ガッドだ。

Blu-rayも日本版と英語版があり、演奏を楽しむなら英語版の方がずいぶん安い。DVDとちがってリージョンコードなどないので、どの国のものでもそのままかけることができる。もとの画像がきれいなようなので、テレビならDVDでもきれいなんだろうなと思う。

スティービー・ワンダーが、自分のボーカルの出の時にマイクが遠くて(目が見えないのだから仕方ない)、あわててポールが手前に引いてやる。それでも少し声が遠いと思ったスティービーは、そこで「ごめんごめん」といって演奏を止めてしまう。一瞬、サングラスを外して客席に、にこっと笑う。周囲のちょっと凍りつくような雰囲気を、すべて自分のせいにして引き寄せておいて、「ごめん。にこっ」である。なんという人間なのだ。

それにしても、ポール・サイモンに第一回ガーシュイン賞を贈るというのは、それだけでひとつの物語のようなアイデアだと思う。

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