2011年4月30日

PAサウンドにかなわないこと

今夜、山下洋輔ソロ&モア(宮崎県立芸術劇場演劇ホール)を観に行って、音のいいのに感心してしまった。

昔、オーディオマニアのちょっとした悪口で「ロックやポップスは、いずれにしてもPAの音だから...」というのがあった。ろくでもない機材をろくでもないセッティングをして、音はわんわん回るし、定位なんてものはないし、レンジは狭いし、要するにろくな音じゃないんだから、そんなものを対象に「再生」を論じたところで仕方がない...、というような話なのだが、冗談ではない。残念ながら、うちの金田アンプ+スーパースワンよりも、ずっといい音だった。

ピアノの実在感、サックスの躍動感、パーカッションのきらきら輝く音。まず、上の方のレンジが圧倒的に広く感じた。ハイ上がりなのかもしれないけれど、あれがハイ上がりならハイ上がり上等である。それに、何しろ反応が速い。生音か思うほど、音が自然に立ち上がり、自然に消えていく。

プロジェクターの体験から、人間の五感は視覚に引っ張られるものではあるので、目の前で演奏している姿に、ずいぶん影響されてはいるのだろうけど、目を閉じて聴いていても、ものすごいスイング感だった。音がスイングの邪魔をしない。それ以上に、音に力がある。前から五列目だったから、だいぶ生音も聴いているのだろうけど。

反応の速いスピーカーをシンプルに使う、という方向はこれでいいんだろうとは思う。いわゆる美音もいらない。周波数特性も、まあよほど変でなければがまんする。速い音。とにかく速い音。今夜のPAの音は、どうやったら出るんだろうと考えている。

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コメント

JUNさん ひょせんです。

PAのサウンドは、昔は耳をつんざくような歪み感たっぷりの音に辟易したこともあり、
よくあんなに大きな音でスピーカーやアンプが壊れてしまわないなと感心することしきりでしたが、最近はPA機器も進化したのか、キレイな音になってきたと思うことも多くなりました。ホールでPAの音を聴いて、自分なりに考えてみたことを書いてみますね。

集音マイクから、コンソールを経てアンプ、スピーカーまで、マイク1本に対してだけでも伝送ケーブルは数十メートルから100メートル程度、信号の損失もかなり多いと思いますし、マイクも含めてデジタル・ワイヤレス伝送を使用した場合でも、変換時の信号ロスも結構あるんじゃないかと思います。

PAではそれを踏まえて、楽器の音色を作る倍音成分を強調するような処理を、ミキシング・コンソールやスピーカーのユニット(特に金属振動板であるホーン・ツイーター)などでうまくやっているのではないかと思います。
例えば、以前のテクニクスのPA用フルレンジ(実際にはアマチュアの自作用ユニットでしたが)は金属製のセンター・キャップが強く主張するサウンドで、フォステクスのフルレンジ・ユニットとは一風違った何か突き抜けた感のあるユニット群でしたが、プロのPAサウンドとも共通するものがあったように思いますし、いろいろな意味合いで、純パルプ振動板のFE108S一発では出せない音であったとは思います。

ミキシング・コンソールは今ではデジタル処理でしょうから、耳ざわりでない倍音のみを効率的に強調することも可能でしょうし、かなり美しいリバーブ(エコー)処理をすることもできると思います。PA全体で見ると、膨大な機器を組み合わせた複雑なシステムですから、アナログ処理による有害な歪みの重畳から逃れられることは、大きなメリットだと思います。

倍音成分を強調するというのは、ピュア・オーディオ的には「歪み付加」にほかならないのですが、画像でいうと、ややボケた実写画像を画像ソフトを用いてシャープネスやコントラスト、彩度などを補正してシャッキリさせるのに似ているのではないかと思います。
音波の場合には、倍音成分が増えるほど艶やかな音色にもなりますし、高域成分が多くなると緩やか波形から急峻に立ち上がる波形に変化し、鼓膜を瞬間的に圧迫する能力がより高まるものと思います。

また、入力された信号に非常に機敏に反応する能率100dBとか110dBとかの超高能率ユニットを、1kWとかの超大出力アンプでマルチ・アンプ・ドライブするので、音の立ち上がりがホーム・オーディオとはかなりかけ離れているのではないかと思います。
それに加えリミッターを使用して常に音を大音圧に保つことで、常時ホール・エコーが大音量で充満している状態を作り上げているのではないかと思います。お風呂場で歌うと、声が良くなり歌もうまくなったような気になることと似ていなくもないと思います。

これらの条件が合わさって、ホーム・オーディオとはかなり異なる世界が構築されていたのではないかと推測します。あと、音の調整をした音響マン個人の音の好みもあるかもしれませんね。

ひょせんさん

いつも示唆に富んだコメントをありがとうございます。「うひょー、そうかー」といいながら読ませていただきました。

20代の頃、イベントやコンサートの仕事をしていたことがあり(生意気にも最初から現場ディレクターのようなことをやらされていました)、PAの仕事にはそこそこ縁がないでもなかったのです。

で、やっぱりそれなりに音のチェックには時間をかけるのですね。ちょっとした場所のライブでも(というか「ちょっとした場所」ほど環境はよくないので)、2~3時間くらいは緊張したチェックがあって、出演者のOKがなかなかでなかったりすると、それだけで疲れ果てるくらいでした。

こちらは素人ですから、PA屋さんや照明さんに「あれはどうするの」「これはこれでいいの」と確認やら質問やらされて、何度か立ち往生したこともあったわけです。最終的に、こちらサイドでOKを出さないといけないのですが、とにかく何もわからないまま、プロの仕事で音のフォーカスがどんどん合ってくるわけで、ああ、すごいもんだなあと。

今回のホールは、バブルの頃に企画されたもので、大ホールは2000人収容、国内最良級の音響特性をもち、国内最大級のパイプオルガンつきというものなので、付属の演劇ホールもそれなりに進んだ設計と機材が導入されているのだろうと思います。機材だけでも私が現場で見ていたものとは、数世代もちがうようなものなのでしょう。ただ、演劇ホールなので残響は音楽ホールよりも少なくなっていることは想像できます。

で、そういったものを10cmフルレンジでどうにかしようという野心はないとしても(笑)、あの音の速さというものは、まるで生音でした。パーカッションなどは、それに加えて確かに豊かな倍音や響きがのっている。オーディオ的に俯瞰するでなく、オンマイクというわけでなく、普通にステージのその場所で生まれた音が、生まれたまんまに流れてきて、自然のままに消えていく…、おおげさかもしれませんが、そんな音に聞こえたわけです。マイクも最小限の本数でした。

110dbのスピーカーを、1kwのアンプで駆動したらどうなるか。確かに、そのくらいの駆動力でないと、あの広い会場であの速い音は出ないのでしょうね。

JUNさん ひょせんです。

以前、NHKの「あしたをつかめ!」という30分番組で、ステージ音響会社に入社したばかりの若者が、実際の現場で徐々に音響システムを構築していくノウハウを得る様子が紹介されていて、あれほどの大音量で一切ハウリングを起こさないための入念な調整術ひとつとってみても、ただただ感心するのみだったことを思い出しました。まさにノウハウの詰まったプロの現場ですね。

このコメントを書いていて急に思い出したのですが、子供遊びみたいなものですが、高校生の時、文化祭の学生ロック・バンドのステージで急遽一度だけ、ステージ音響会社の方がちゃんとセッティングしたPAを、本番演奏時にコントロールさせてもらったことがありました。ミキシング・コンソールのつまみをほんのちょっといじるだけで、サウンドが大きく変化するので面白がってやっていましたが、今思うとかなり大胆なことをしたものだと思います。

PAの細かいノウハウは無数に存在しているのでしょうが、素人目てPAのシステムを見た話ですが、前回の投稿内容に加えてこんなことも考えられるように思います。

これは、今の時代になったからというわけではなく以前からのことではありますが、複数のスピーカーを積み上げたり横に並べたりして鳴らすのがPAの基本だと思います。
自作スピーカーでも、メタルのセンター・キャップで中高域に主張のあるユニットを複数並べて使用すると、嫌なクセが払拭されて、繊細さや透明感、分解能が大きく向上し、むしろナチュラルになってハイエンドまでも伸びたような音になることがあります。実際にはユニットの相互干渉でハイエンドは落ちているはずなのに不思議なものです。

メタル・キャップのユニットに限られませんが、長岡先生の作品には縦に4発~8発フルレンジを並べ好結果となったスピーカーもあり、わたし自身ではメタル・キャップのテクニクス10F10を縦に2個並べただけのスピーカーしか作っていませんが、この機種でも上記の複数使用のメリットは十分に確認できました。

現在の自作用ユニット界全般で見ると、柔軟な振動板を用いた超小口径・低能率タイプが隆盛を誇ってるようですが、それらとは毛色の異なるフォステクスの新FFシリーズの8~12センチあたりをキャンセリング・マグネットで強化して、縦に4~8本並べたスピーカーを作ってみるとか面白そうです。
長岡先生設計のF-91「トーテム」とかF-95「ガウディ」みたいな感じで、低音はウーハーで増強ですね。それを、耳に優しい歪み成分が発生(良く言えば倍音成分の創生)する真空管やMOS-FETを使ったハイ・スピードな音作りのアンプで鳴らしてみるなんてことを試してみたくもなります。
ホーム・オーディオだと、ホール・エコーや電気的処理で残響を増やすことはできないので(AVアンプだったら簡単ですけどね)、「トーテム」のように中高音は背面開放箱にするとか、上面に開口がある共鳴管タイプのキャビネットだと、さらに効果が上がりそうにも思います。

それと、アンプですが、ネット・ショップをざっと検索してみると、ホーム・オーディオでは30万円以上はする300W+300Wクラス(モノラル使用だと700W)のアンプでも、PA用だと名の知れたメーカー製新品が4万円足らずで手に入るようで、回路設計や使用パーツ自体がホーム・オーディオ用のアンプとはかなり異なる概念で作られているのではないかと思います。


それと、数日前、「岩城宏之を読んでみる」の記事に、センター・スピーカー関連のコメントを投稿したのですが、無事に届いていますでしょうか。

ひょせんさん

そういえば長岡師の作品に「ステップ」というのがありましたね。たしか松下の10cmか8cmのユニットを階段状に6本ほどタテに並べたものだったと思います。

もともとの設計はリニアフェイズを狙ったものなのでしょうが、驚異の周波数特性になっていてユニットのもつ癖が払拭されて素直な音、というようなインプレッションが書かれていたように思います。

横方向のサービスエリアの拡大とリニアフェイズという、階段構造からくるメリット以外に、複数ユニットによる音色の変化というのが、予想を超えていい方向に働いた、というものだったのでしょうね。

トーンゾイレなんて言葉をひさしぶりに思い出しました。あんな勇気あるというか、遊び心のある設計、最近は見なくなってしまいました。

JUNさん、ひょせんです。岩城さんに関する記事と、PAに関する記事のコメントをひとつにまとめますね。(^^)

たしかに、トーンゾイレという言葉自体、近頃ほとんど聞かなくなりました。長岡先生の作品には、10F10シリーズを使った「ステップ」のほかにも、柱の上下に箱が付いた巨大な「キリン」、10cmウーハーを並べた「アリアン」など、面白そうなものがいろいろありましたね。
もっとも、ユニット代におカネが掛かるので、わたしはもっぱらユニット1発のスピーカーばかり作ってます。(笑)

長岡スピーカー初の共鳴管システムとなった「カテドラル」も10cmユニットを縦に4発並べたものでしたが、今は設計支援のシミュレーション・ソフトの枠中に収まる無難な路線であることが必須条件とされる風潮があるようで、その枠の中の理屈で説明のつかない上記のような超個性的かつ立派に実用的なスピーカーが出てこないのは、さみしい気がします。「凱旋門」も今の時代では登場できないでしょうね。


BH-1207Vは板材を増やさず広いフロント・バッフルを補強できる構造をと思い、ああいう構造になりました。ホーン長も確保してサブロク合板2枚に収めることができ、FE127E用としてはうまくまとめられたと思います。
この機種で上面開口としたのは、ユニットのQoが高いためにホーン開口からの音(特に中音域)がかなり荒れてしまうと予想して、それから逃れることが第一の理由でした。点音源効果に気付いたのは、ずっと後になってBH-1026S(R-101)を作ったことがきっかけです。

実は、FE126En用にBH-1207Vの大きさと強度をアップした機種を、合板3枚で収まるように考えていたところです。先日紹介したBH-1030Sと同じ構造で大型化すると、合板が4枚必要となって、ローコストなFE126Enとは不釣合いになってしまいそうですから。(^^)

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5.1ch~7.1chのリア・チャンネルは20Hz~20kHzの周波数レンジが規定されているものと思いますが、近所に昨年オープンしたばかりの映画館で、最新のド派手なアクション作品を、左右と背面に10本以上ズラリと並んでいるリア・スピーカーの音に注意深く耳を傾けながら観て(聴いて)みても、実際の映画では前方3chの大型スピーカーに加え、0.1chウーハーが大活躍するため、リアに重低音領域を受け持たせている例はないように思います。

また、わたしが現在使っているAVアンプには、ルーカス・フィルムが制定した「THX」という規格による機能が付いていますが、それではリア・スピーカーは80Hz以下の低域をカットする設定になっているくらいです。
せめて50Hzが再生できないと映画再生で重低音を感じることはできないですから、そのことからしても、元々リア・チャンネルについてはあまり重低音は気にしなくても良いというのが、わたしの私見です。

そういったこともあって、BH-1026S(R-101)を壁面付近にセッティングした場合程度の周波数レンジと量感があれば、低域を持ち上げなくても十分に対応できると思います。
ただ、リア・スピーカーはできれば4本くらいは鳴らしたいという希望はあります。


サラウンド・バックの設置条件に制約があるようでしたら、変な話だと思われるかもしれませんが、長岡先生設計のBS-69「ボトル」にFE108Sを取り付けて置くと、良いのではないかと思います。
背後を音が動く際に音像の軌跡が不自然にならないように、ユニットの高さは3~4本のリア・スピーカーでできるだけ合わせて設置したほうが良いと思います。

「ボトル」は幅26cm、奥行き23cm、高さ20cmの箱の上面中央に長さ20cmの煙突ダクトが付く形状で、やはり低域はダラ下がりになりますが、ダクトが上面に開口していることから、合板0.5枚(2本分)で気軽に作って気軽に置けるスピーカーとしては、BH-1026S(R-101)に似た感じの音になるのではないかと思います。

ユニット取付け穴の直径を104mmで開けておけば、もっと本格的なキャビネットに変えたいと思った場合には、ユニットをFF125WKに付け替えてサブ・システム用のスピーカーにまわすという手もあると思います。


と、なんともいい加減なお話になってしまいましたが、少しは参考程度にでもなりますでしょうか。(^^;

ひょせんさん

またまた、丁寧にありがとうございました。大変参考になりました。

私の部屋ですと、リスニングポジションが後ろの壁にひっついていますので、サラウンドバックはいずれにしても頭上数十センチにあることになります。出窓に、何かスタンドを用意してBS-69を置くのもありだなと思いました。

あるいは、窓の上部の壁に、ブラケットを介してスピーカーを壁掛けにしてしまうのもいいかなと。FE108Sにこだわらなければ、適当なユニット(FF125WKとかFE103、あるいは最近の海外ユニット)のバスレフ箱を作って、掛けてみてはどうだろうと思っています。音色はなるべく揃えたいところですが。もしくは、8cmくらいの超小型バックロードホーンか。

究極としては、R-101をあと4本作って、完全に能率も音色も高さも合わせ、置き方は後で考えるというのがあるわけですが(笑)、それは将来の楽しみにとっておくことにして、とりあえず現状、圧倒的にソフトの数が多いDVDの5.1chをちゃんとするのが先かな、という気もします。

そうすると、スーパー(サブ)ウーハー…となるわけですが。スーパースワンに合わせるサブウーハーはなかなかない、といわれていますが、ピュアオーディオではないので、そこまで厳密に考えなくてもいいのかなと。

私の環境(スーパースワン+R-101)に合うサブウーハーは、市販のアンプ付きのやつでいいのでしょうか。スペースが厳しいので、なるべく小さなものがいいのですが。質問ばかりで申し訳ないのですが…。

あと、センタースピーカーは、D-118を作ってみようかなと思っております。サイズ的に手頃なようですので。

ひょせんさん

あっと読み落としていました。FE126En用のBH-1207Vは、FE108Sに使えそうでしょうか。

JUNさん、ひょせんです。

BH-1207VのFE126En版は、現在の設計途中の段階(今後変更あり)で、幅23センチ、奥行き38センチ、高さ89センチなのですが、FF125KやFE126EnにマッチするD-100の音道の幅を2センチ狭めるとD-118になるように、BH-1207VのFE126En版も幅を2~3センチ程度狭めるとFE108Sに適合しますので、板取図をほんの少し変更するだけで対応できると思います。

また、リスナーのサイドや後方にに置くサラウンド・スピーカーは、ユニットの音色やスピード感が異なると、特定のチャンネルが音量を上げてもちゃんと聴こえてこないという現象が起こりますので、できるだけユニットはそろえることをお勧めします。

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サブ・ウーハー(SW)についてですが、120インチ級の映像に合うサウンドを本格的に再生しようとすると、やはりSWは欲しいと思いますが、市販のアンプ内蔵SWでも低音の補強という点では十分に役立ちますから、試しにヤフオクとかハード・オフなどで5000円くらいのSWを調達して鳴らしてみて、映像と合わせて再生してみて、これで十分ということになれば、安直ですが一番すんなりいくと思います。

しかし、市販SWを実際に鳴らしてみて、スピード感や音の締りとかが気になった場合には、自作するほうが良いかもしれません。これには大きく分けて以下の二通りの方法あると思います。

まずは第一案ですが、SW用アンプを用意できる場合には、FW208Nを2発(28センチ口径相当)使ったダクトのチューニングを低めにとった内容積60リットル程度のバスレフ箱があたりが良いと思います。
アンプは、出力100W程度あれば力強く鳴らせると思います。ハイ・カット用のコイルが必要ないので、スピード感の点で有利です。

5.1chで考えると、10センチ・フルレンジ5発で22センチ口径となりますから、それよりも一回り大きい28センチ口径くらいは必要かなという感じです。より小型化を狙う場合には、FW168Nを2発で22センチ相当とか、さらにコストダウンのためにFW208Wを1発のみでも、スピード感の点では市販SWよりも有利だと思います。

FW208Nの2発版のキャビネットの外寸の一例を挙げると、大体、幅35センチ、高さ60センチ、奥行き40センチ程度です。これを、幅60センチ、高さ40センチ、奥行き35センチとなるように、ウーハーの振動板とバスレフ・ダクトの開口が天井を向くようにして設置すると、フルレンジに比べてはるかに重いウーハーの振動板から出る歪み成分が耳に入りにくくなるため、低音の質も向上しますし、それに加えて中高音の濁りも少なくなります。


第二案は、AVアンプのフロント・バイアンプ機能を使ってSWを鳴らす場合です。本来サラウンド・バック用のパワー・アンプ回路にフロント・チャンネルの信号を割り当てる機能で、それを利用してSWを鳴らします。この機能があるAVアンプがまずは必要です。
この方法では、SWにも中高音も含めて全帯域が入力されることになりますので、18mHとかの大容量のコイルを使って中高域をばっさりカットするか、ASW型やDRW型の中高域を大幅減衰できる大型キャビネットを採用した上で、3.5mH程度の中容量のコイルも併用して中高域をカットするということになるかと思います。


現実的なのは第一案のほうだと思いますが、いずれの場合でも市販SWを調達するよりもかなりコストがかさむのが難点ではないかと思います。アンプもそこそこ力感のある機種が必要ですし。

現在フォステクスから、音楽再生にも使えるという25センチ版と20センチ版の2機種のアンプ内蔵SW(いずれも密閉型キャビネット)が発売されていますが、SWを自作してアンプを用意するよりも、むしろ安価で安心して使えるかもしれません。

http://www.fostex.jp/products/CW250A

http://www.fostex.jp/products/CW200A

思いつくままに書き並べてみましたが、参考になりますでしょうか。

ひょせんさん

なんだか、教えて君みたいになってしまってすみませんでした^^;。

ほんと、知らないことだらけですね。AVアンプだとスーパーウーハーのアンプはいらないのかと思っていました。なくてもいいようですが、あった方がいいのですね。おっしゃるように、市販のアンプ内蔵のものを物色することにします。

サラウンドバックは、できればFE108Sを生かしたいのですが、うちの場合、壁掛けになりそうなので、どうしても小型・軽量にならざるを得ず、ちょっと使うのは無理かなあと思います。仕方ないので、デスクトップ用にも使えそうな安めの小型スピーカーを調達しようかと思います。

センターは、FE108SのBHで確定なので、ひょせんさんの新作を楽しみにお待ちしております。あ、急ぎません^^;。

JUNさん、ひょせんです。

0.1chのアンプ非内蔵サブ・ウーハーを、AVアンプ本体内蔵のパワー・アンプで鳴らせる機種も探せばあるとは思うのですが、かなり数が限られると思います。
20~30センチ・ユニットのバスレフ型や密閉型のサブ・ウーハーで、30Hz以下といった超低音域まで伸ばそうとすると、どうしても能率を下げざるをえなくなり、フロント・スピーカーの何倍ものパワーをサブ・ウーハーに費やす必要が出てくるため、あえてサブ・ウーハー用のアンプは独立させているのではないかと思います。

それと、前回の投稿で第一案のほうは0.1chのモノラル信号を再生するウーハーの箱は1台で済みますが、第二案のほうは、左右のフロント・スピーカーのチャンネルそれぞれに合成した0.1ch信号を含めた低音域(ステレオ信号)を再生するため、左右2台の箱(または、箱をひとつにまとめても、ウーハー・ユニットは2個)が必要になります。

その点でも第一案が現実的ですし、さらには、初めからアンプやハイカット・フィルターの調整機能を内蔵している市販サブ・ウーハーの中から、そこそこハイスピードなものをみつくろったほうが、まとまりの良い音を得られやすいものと思います。映画再生に限定すれば、ほとんど気にならずに使える機種もあると思います。

実は、第二案のほうを採用すると、AVアンプのサラウンド・バック用のパワー・アンプ回路をサブ・ウーハー駆動に使用することになるため、せっかくの7.1chのAVアンプでも、サラウンド・バックのスピーカーは鳴らせないことになります。


BH-1207Vの強化版については、あまり遠くない時期に仕上がると思いますので、仕上がりましたらご一報差し上げます。

ひょせんさん

詳しい説明をいただいたおかげで、だいぶ道筋が見えてきました。とりあえず、AVアンプ、センタースピーカー、スーパーウーハーを、手に入れやすい順から揃えていこうかなと思います。

反射型液晶プロジェクターも、中古ならそこそこの値段になっているようなので、これもいずれはなんとかするとして…。

BH-1207Vの強化版、楽しみにしております^^。

JUNさん、ひょせんです。

とりあえずは、ブルーレイのサラウンドに対応したAVアンプの機種選定が重要かもしれませんね。現用の4本のスピーカーを利用して、マトリクス・サラウンドから4.0chサラウンド再生に変更することでも、音場の様子が結構変化するものと思います。

DVD時代の非可逆圧縮音声でのサラウンドだと、わたし個人としては音質的に躊躇するところもありましたが、ブルーレイになってリニアPCMの音質に近付いた(またはリニアPCMそのものの)サラウンド・サウンドが楽しめるので、映像を見る際に組み合わせる音としては、十分なクオリティだと思います。
音質は購入するAVアンプのクオリティにも左右されますが、録音スタジオで作り込まれた音場の広がりや音像の移動感などが再現されると、より映像と音のシンクロ性が向上するので、作品の意図するものをくみ取りやすくもなると思います。


さて、BH-1207VのFE103En-S・FE108S版の設計が進みましたので、ご報告いたします。(^^)

型番は「BH-1028S」としました。外観はこんな感じです。
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/yh1305/bbs-pic/BH-1028S_001s.jpg

センター・スピーカーとして真正面から見ると
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/yh1305/bbs-pic/BH-1028S_002s.jpg

先日お知らせした途中経過から、FE126E用のものとも合わせて全体を設計しなおして、高さ89センチ、幅26センチ、奥行き30.5センチとなりました。
ホーン長は約3メートルありローエンドはよく延びると思いますが、天板の平面部分は、奥行きが11センチありますので、ハイエンドの周波数レンジも延ばしたい場合には、天板に大抵のツイーターが載せられると思います。

使用する板材は、スーパースワンやD-118、D-100あたりとも同じで、サブロク大15ミリ厚合板を左右2本で2.5枚使用します。
左右非対称の内部構造からしても、センター・スピーカー専用設計ではありませんので、板取りは板の使用量の効率も考慮して左右2本セットで行いました点、ご了承くださいませ。(^^)

内部構造は概ね「BH-1207V」と似ていますが、FE127E用の「BH-1207V」では板取りの効率と若干の工作のしやすさを考慮して、ホーンが広がるスパンが70センチのところが二箇所あったのですが、「BH-1028S」では、開口直前以外はすべて35~40センチのスパンに改めました。キャビネットの強度も上がりますし、ホーンの効率も向上すると思います。

ちなみに、FE126E用の「BH-1211E」のほうは、高さの89センチは「BH-1028S」と同じですが、幅が1.5センチ広い27.5センチ、奥行きも2.5センチ深くなって33センチとなりました。こちらは左右2本で15ミリ合板を3枚使います。

と、こんな感じです。

ひょせんさん

ちょっと家を空けており、返信が遅れてすみませんでした。

BH-1028Sの設計、ありがとうございます。図面の頒布をやっておられましたら、ぜひお願いします。軽々と音が出そうなスピーカーですね。

AVアンプは、AVC-3808とTX-SA806のどちらにしようかなと思案中です。音だけを考えれば、SA806の方かなと思うのですが、AVC-3808のネットワークオーディオも、目新しさが魅力でもあり…。

こういう、思想のちがうものを迷うというのは、たぶんいつまでも結論は出なさそうに思うのですが、ひょせんさん、どう思います^^;?

JUNさん、ひょせんです。

BH-1028Sは図面の清書をまだ済ませていないので、仕上がりましたらお送りします。(^^)

ネットワーク・オーディオはまだやったことがないのですが、オーディオは機器の導入と同じくらいのウェイトで、様々なソフトに出会うことも重要だと思うので、PCの中に入っている音楽やライブなどのネット配信を、ちゃんと広い空間で鳴らすのは新たな発見があって、AVアンプのもうひとつの活用方法として面白いのではないでしょうか。

ネットワーク・オーディオと同じではないですが、先日かんたんなスピーカーを作り、現在PC作業中にはエージングをかねて古い機器を組み合わせFM放送を垂れ流しているのですが、普段なら自分自身で選ぶことはないだろうと思われる音楽もどんどん流れてくるので、面白がって聴いています。今日は天地真理と南沙織の特集がありました。(^^)

気軽という方向とは逆に、ネットワーク・オーディオでは、現状ではネット配信でしか手に入らない96kHz/24bitの高次フォーマットのソフトの音も楽しめるようですので、スーパー・ツイーターを追加するなどして、オーディオ・システムの新たな可能性を探る楽しみもありそうですね。
これは、単体ネットワーク・プレーヤーとピュア・オーディオ・アンプでないと十分に本領を発揮しないかもしれませんが、まだ単体プレーヤーは高価ですし。

ただ、AVC-3808とTX-SA806ですと、内部構造の画像だけ見てもいかにもTX-SA806は基本的な音質が良さそうに感じるのが、オーディオ・マニアとしては悩ましいところですね。
詳しくは知らないのですが、PS3にもかんたんなネットワーク・プレーヤー機能が付いているみたいですので、PS3をHDMIケーブルか光ケーブルでAVアンプに接続して代用するとか。(権利関係の規制が多いので、実際には代用できないかもしれません。)
それとも、思い切ってTX-NA1007やNA808あたりにしてみるとかで、今の悩みは吹っ飛びます。・・・などと無責任なことを言ってみます。(^^)

ひょせんさん

BH-1028Sは、私のための特注設計みたいになってしまって、申し訳ないです。お手間をおかけしてしまいました。

この箱にFE108EΣを使って、R101とセットにすれば、シアター用にかなり需要があるのではないかと思います。高さ90cmのスリムなトールボーイでバックロードホーンとなると、現状、これかD-118くらいしか候補がないのではないでしょうか。

私のように、床から1mくらいがスクリーンの下端になるようにセットしている人なら、前3本にBH-1028Sを使い、リアにR101を使うことで、5本同じユニットで、ほぼ同じ方向の設計の箱になりますし、サイズ的にも一般家庭にはジャストではないかと。

低音の量感はどうなのでしょうね。これでD-118並の低域が確保できたなんて話になれば、もはや決定版ではないかと。ホーンロードが、それほどきつくないようなので、音離れの良さ、反応の良さ、上面開口ならではのまとまりは、D-118を上回ることも予想できますしね。

あとは、同じFE108EΣか似た傾向のユニットを使い、壁掛けもできるように比較的コンパクトで重量5kg以下のサラウンドバックスピーカーが揃えば、けっこう夢のシステムになりそうに思います。圧倒的大音量を出さなくても、反応の良さで臨場感を再現できるシステム。これこそ、待ち望まれていたものではないかと^^。スペースに余裕があれば、サラウンドバックもR101を使いたいところですが、私の14畳の部屋でもちょっと厳しいです。

PS3のネットワーク機能のこと、教えていただいてありがとうございました。さっそくTVersityをインストールしてみたら、ほぼ問題なく使えることがわかりました。リアルタイムにデコードしながらであるせいか、音質はそこそこの感じですが(少なくともCDとは差があるようです)、一応、ピュアオーディオといえるクオリティは、なんとか確保できるようです。これはいざとなれば、PCからHDMIで出力してAVアンプにつないでしまうこともできそうですし。

というわけで、AVアンプは本質的なクオリティに期待して、定価265000円もした(そして超破格値で投げ売りもされた)、TX-SA806Xを探そうと思います。

JUNさん、ひょせんです。

PS3は様々の機能が盛り込まれていて、ほんとに便利な機器のようですね。とりあえずはAVアンプについての悩みが解消したとのことで良かったです。(^^)
TX-SA806XクラスのAVアンプなら、フロント・スピーカーに外部のパワーアンプを用意しなくとも、十分に迫力とクオリティを両立させた映画再生が楽しめそうですし、むしろそのほうが全chで音質がそろって、好結果が得られそうですね。


BH-1207VのFE126En版の計画は前からあって、それをFE103En-S・FE108S用に少しアレンジしたものがBH-1028Sとなりましたので、JUNさんの特注というわけではありませんから、その点については気になさらないでください。(^^)

BH-1028Sは、スーパースワンやD-118と同等のキャビネットのボリュームがあり、ホーン長はそれらよりも長く、上面開口のバックロードをこれまで数機種作った印象ですと、低音の延びと量感が得られやすい傾向がありますから、幅広いソフトに対応するメイン・スピーカーになるんじゃないかと思います。
また、同じ上面開口のバックロードであることから、リア用バックロードのBH-1026S(R-101)とのサウンド的な相性も、すこぶる良好だと思います。

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ところで、先日サブ・ウーハーには市販のアンプ内蔵タイプをお勧めしたばかりでこんなお話をするのは恐縮ですが、AVアンプのグレードが高い場合、サブ・ウーハーにもそれに見合うだけのスピード感とクオリティが必要となるでしょうから、市販サブ・ウーハーから探すとなると、それなりの価格になると思います。
中古になると、長年の大出力・大振幅による劣化で、システム全体のクオリティにバランスする音質が維持されているか心配になります。

かえって自作サブ・ウーハーに適当なパワー・アンプ(小型のものなら、フライングモールのようなデジタル・パワーアンプなど)を組み合わせたほうが、AVアンプから出た信号がフィルター回路をまったく通らないこともあって、安上がりで音も良いかもしれません。


例えばこれは、以前わたしのホームページの掲示板で紹介したことのある画像ですが、
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/yh1305/bbs-pic/BH-1022C_001.jpg
スーパースワンとバックロード方式のセンター・スピーカーを使っていた方が、わたしからお伝えしたキャビネットの概要を基に製作された0.1chウーハーの例です。

この0.1chウーハーは、当時フォステクスに「15W200」という定価15000円で安価な割りにそこそこ音の良い40cmウーハーがあったので(現在は廃盤)、それを小さめ(といっても容量100リットル)のバスレフ箱に取り付けて、パワー・アンプとして使える出力100Wクラスの往年のプリメイン(ラック下段)で鳴らしていました。(この画像にはAVアンプは写っていません。)


もし、こういった感じのものを今やろうとした場合、
低音の深みで40㎝ウーハー
http://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=26761029
容量120リットル程度のバスレフ箱 (例:高さ60㎝ 幅55㎝ 奥行き50㎝ 程度)
(前述の40cmウーハー「15W200」より磁気回路が小さいので、少々音が重いかも)

スピード感優先で25㎝ウーハー(このユニットは磁気回路が大きめ)
http://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=24567461
容量40リットル程度のバスレフ箱 (例:高さ40㎝ 幅35㎝ 奥行き45㎝ 程度)


そのほかに少々コストがかさみますが、先日紹介したFW208NやFW168Nを1発または2発使う方法もあると思います。

とりあえずご参考までに。

ひょせんさん

うーん、スーパーウーファーの自作ですか。これもまた、ユニット、箱、アンプと悩みどころの多そうなテーマですね。

最近、振動板で鳴らす低音をちゃんと聴いていないので、基準になりそうな2ウエイ、3ウエイって、どんなのだろうなと考えていました。市販品も含めて、一度、ためしに、そういうまともな(?)音も聴いてみないといかんなあと。まあ、基準の音なんて、きっとないのでしょうけど。

そんなわけで、FW168N、FW208Nのことは、なんとなく頭にあったのです。

ところでアンプは、パワーアンプでもいいのでしょうか。ウーファーのコントロールは、AVアンプからやれるのですよね。

JUNさん、ひょせんです。

最近のAVアンプには、ピンクノイズやパルス音を付属マイクで測定し、出力レベルをはじめ様々なパラメーターを綿密に自動調整する機能が付いていますので、その機能の効果を十分に発揮させるためにも、ボリュームとかセレクターとかが付いていないシンプルなパワー・アンプほど良いと思います。
もちろん、ソフトを楽しむ時には、サブ・ウーハーの音もAVアンプのボリューム操作に連動して大小します。

ただ、ウーハーは振動板も重く重低音の能率も高くはないので、サブ・ウーハー用アンプの出力はやはり100W(8Ω)以上は必要かな、と思います。
また、元々パワー・アンプである機種のほうが音が良いわけなんですが、そのほかに例えば、ヤマハのプリメイン・アンプは1980年台半ばくらいから、5万円以上の機種の多くが、リア・パネルのジャンパー・ピンを抜くなどすると、ボリュームもセレクターもないパワー・アンプとして使えるようになっており、ゴリゴリした低音ではないですが、他社比で出力も大きく概して音のクセも少なく、試しに鳴らしてみるには手に入れやすいと思います。他社にも少し同様のプリメイン・アンプがあります。

FW208NやFW168Nは、フォステクス製も含めた他の同口径のウーハーに比べ、振動板が特に重く、振動系のサスペンションは硬めとなっているため、アンプは同じ100Wクラスでも、より電源回路が強力で、ウーハー2発並列使用時の4Ω負荷にも強い機種が必要となってくると思います。
BTL接続で200Wくらいのモノラル・アンプとして使える機種だと、なお効果的だと思います。ピュア・オーディオ的なアプローチが必要となるユニットと言えると思います。
または、歯切れの良さを引き出すために、効率の高いデジタル・パワーアンプあたりとの組み合わせが良いかもしれません。

サブ・ウーハーは、AVアンプを核にしたサラウンド・システムが一旦落ち着いてからのことになると思いますから、しばらくは何となく頭の片隅にでも置いておきましょう。(^^)

ひょせんさん

サブウーファーのこと、なんとなく頭の片隅にのつもりなのですが、なんだかふくれてきてしまいました^^;。なんとか、市販品をぽんと置く方式で収まればなあと思ってはいるのですが…。

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