2011年2月 9日

Frieve Audioのこと

ひさびさにあっと驚いた。Frieve Audioというソフトである。知っている人はとっくに知っているのだろうが、私は昨夜知って、「あれまー」といってのけぞった。目は喜びの波目だ。機能は多々あるのだが、まずmp3やwaveの再生ソフトである。そして強力なデジタルイコライザーがついているのだ。

昔からのオーディオファンにとって、グラフィックイコライザーは夢と幻滅が交互に押し寄せてくるような存在であり、結果としてあまり普及しなかったのは、とにかく満足のいく補正が非常にむずかしいことと、音質劣化は避けられないことがあった。

ところがこいつは、音源がデジタルのうちに補正してしまうので、原則として音質劣化はないという。さらに、シェアウェア版にはマイクを立ててスピーカーから出てくる音を録り、それを元にフラットならフラットで自動補正する機能までついている。しかも、この際、低域が遅れるといった位相差まで補正するのだという。

グラフィックイコライザーの機能を称して音場補正と呼ぶことを、長岡鉄男およびその一派は(ワタシも含む)、これまで「ふふん」といって否定してきた。イコライザーは周波数特性を変化させるものであって、音場とは何の関係もない。音場とはつまるところ位相の問題であって、複雑怪奇な機械系を経るスピーカーシステムを、なるべくシンプルにしていき、かつ音場込みのソースでしか近寄っていくことのできないものである。というのがその立場だ。

だが、左右スピーカーの特性や、部屋の音響特性といったさまざまな要素が複雑に絡みあう「音」を基に、周波数特性を補正するのみならず、位相補正まで行うということになれば、これは確かに音場補正と呼んでもいいのではないか。

そしてさらに、リサンプリング機能までついていて、環境によっては16bit 44100hzの音源を24bit 96000hzで出力・再生可能なのだ。ただし、サウンドボードがASIOに対応しているか、ASIO.DLLを使える環境であること、また実際上、何かのオーディオプロセッサーの使用が前提になる。

このソフトにとって得られるものは途方もなく大きい。本格的な家鳴りオーディオから、箱庭盆栽的デスクトップオーディオまで、期待される効果は変わらないのだから、このソフトの存在だけでPC音源の優位性が...という気がしてきた。

このソフトはWindows XP専用。それ以降のOSで使える同様のソフトがあるのかどうか、まだよくわからない。

「PCで音楽を聴くのはオーディオ的には論外」などと書いたのは、ワタシの不明であった。2007年12月から開発を停止しているソフトに、ようやく昨夜気づくなどというテイタラクとともに、平蜘蛛となってお詫び申し上げる次第であります。

Frieve Audio
http://www.frieve.com/frieveaudio/


追記:

位相補正についてはユーザーのブログで知ったのですが、本家のマニュアルにはそういう記述はなく、ちょっと不確実かもしれません。

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