映画>明日に向かって撃て(BD)
『明日に向かって撃て』(ジョージ・ロイ・ヒル監督/1969)。
そんなわけでPlayStation3で初めて観る映画はこれにした。実在の悪漢ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドの物語。とはいっても、このあまりにも有名な映画を観るのは初めてだったことがわかった。テレビでくらい、観ていそうなものなのだけどな。
ブッチ・キャシディは、『ワイルドバンチ』(サム・ペキンパー監督/1969)に描かれた、あの悪党集団の中心メンバーでもある。どういうものか1969年という同じ年に、二人の監督が西部劇の終焉のような時代に暴れ回った伝説の強盗を主題に映画を撮ったことになる。
そして、この二つの映画はとてもよく似ているのだ。特にラストシーンなどは、表現のちがいこそあれ、いや、それもストップモーションと超スローモーションで似てはいるのだけど、ほぼ同じといってもいい。
アメリカン・ニューシネマというのが、どういう概念を指すのか正確に知らないのだが、この二つの作品や『イージー・ライダー』、『おれたちに明日はない』と代表作を並べてみると、「刹那的に生きる何人かの若者が、それなりに夢を追いつつも最後は無惨に死ぬ」という流れだけは共通するように思える。
夢の50年代は過ぎ、ベトナム戦争を経て、世の中(アメリカの)がすっかり疲れ果てて、おれもう、やんなっちゃったぜよという状況の中で、へらへらとおきまりのハッピーエンドなんかやってられるかい。かといって政治なんかにも、もはや興味はないね。といった気分が、こうした作品に反映しているのかもしれない。ここらへんは知識不足なので、ここまで。
この映画は、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの格好良さ、撮影手法の斬新さ、挿入歌の『雨にぬれても』(バート・バカラック)と、ほんとにてんこ盛りなのだけれど、爆発シーンで腹を抱えて笑ったのは初めてだった。
列車強盗で金庫にダイナマイトを仕掛けるのだが、貨車ごとふっとばしてしまい、破片がえらい勢いで盛大に飛んでくる。あまりの予想外の大爆発に、スーパースワンも轟きわたり、ひっくり返って笑った。紙幣が青空に舞う。そこへ凄腕の追っ手たちを乗せた汽車が到着して追跡が始まる。
結局、ニューヨークから船に乗ってボリビアまで逃げるのだが、ここでも更生への思いを多少なりとも持ちながら銀行強盗を働き、最後には警察・軍隊と大銃撃戦に...。
サンダンスの恋人のキャサリン・ロスが、「農場をやればいいわ」というと「耕せないよ」と言い、「牧場は」といえば「牛泥棒時代にやろうとしたが...。あれはきつい仕事だ。もうおれたちは年だ」という。要するに世間並みのことには、きわめてヘタレであるところが、1969年当時の「今時の若い者」だったのだろう。
そして「次はオーストラリアだぜ」と言いながら、軍隊が待ちかまえる建物の外に出たところでストップモーション。カメラがロングから引いて幕となる。
なるほどなあ、と思う。何度も観たいと思わせ、何十年たっても人が語り継ぐ映画というのは、なるほどなあ、がたくさんあるものなのだ。
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