2010年11月 8日

ベイフィッシャー27

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気になっていた船の整備が済んだと連絡があったので、見に行ってみた。

ヤマハのW-27HFという和船の艇体に、スズキDF90という4サイクル船外機をつけた中古艇である。宮崎市内海港に浮いていたそいつは、陸上で見るよりこじんまりと見えた。それでも27フィートもある。

港を出て加速を始める。最大速度25ノットくらいか。

「UF23とか港にとめてあったけど、このへんではどんな感じですか」
「いい船だけど、和船に比べてしまうと...」
「揺れる?」
「ですね。私も酔う方なので、自分で使う時は和船かサンキャット」
「そうなんだ」
「あと、安くて全長がある船をとなると、やっぱり和船になるし」
「そのわりには乗ってる人、少なくない?」
「全国的に中古の出物が少ないから」
「なるほど」

「この艇体がほしくて、ずっと中古を探してた人がいたんだけど、なかなかなくて」
「ふむ」
「結局、すごい幅広の和船を買って、広くていいんだけど沖に出ると叩く叩く」
「でしょうな」
「でも当人、愛着が湧いたらしくて、最近では気に入ってるみたいです」
「ふむ」
「仲間内では『一反木綿』といってますけどね。いい船です」
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日本のフィッシングボートのカタチとはどんなものか。それに一応の答えを出してくれたのが、ヤマハのタックル(UF23)だったと思う。何しろ空前の大ベストセラーにして、大ロングセラー。23フィートの幅広の艇体に、75馬力~115馬力くらいのエンジンがつき、けっこうな広さのカディがついてコンソールもそこそこ立派、ウォークアラウンドで取り回しも良い。

もともとのお手本は、アメリカのセンターコンソール艇なのかもしれないけれど、あそこまで簡素で頑丈で波切り重視ではなく、似てはいるけど波切りよりは安定性をとり、簡素さよりはキャビンの広さをとり、頑丈さよりは価格の安さをとるという、見事なバランス感覚でトヨタの車のように売れたに売れた。

なのだけれど、「釣り船としては和船優位」という根強い声に、しっかりとした反論ができなかったのも事実だろうと思う。和船は原則、プロの漁師が使う作業船だから、静止安定性を重視した作りになっている。網を上げるにしろ、養殖場などの作業をこなすにしろ、止まっている時に安定していることが重要だ。

重心が低く、舷側に数人が寄っても大きく傾くこともなく、ハルの作り自体もわりあいしっかりしている。それが釣りに効く。釣りをしている時は、普通、アンカーを入れて止まっているか、風や潮流にまかせて流しているかなのだから。

UF23がこんな和船に釣り性能でかなわないのも仕方ないのだが、これは「船を持つ夢」をその格好良さと価格の点で、見事にかなえてくれた船であり、子供を乗せて海に出たい、彼女を乗せて海に出たいなどという話になると、和船などとは比較にならない圧倒的なアドバンテージがあった。

しかも、それまでのボートに比べると、釣り性能もまた圧倒的だった。その後の日本のフィッシングボートは、特に20~25フィート級となると、すべてどこかUF23に似ている。

その中で、最近ヤマハがこっそりと『釣り船の理想』を追った船を作った。釣りやすく、揺れず、風に流されず、デッキは広大で、燃費が良く、価格が安い。2008年秋に発売されたベイフィッシャー25というその船は、まさにヤマハ和船W-25をベースにした、日本のセンターコンソーラーなのだった。こんなに見栄を張らない正直な作りをしているのだから、この船は売れると思う。

本日の結論。ぼくはおそらくこのW-27HFを買おうとすると思う。

なぜって、この船はベイフィッシャー25を性能でも見た目でも上回る、理想の釣り船だからだ。これは、カタログには載っていないベイフィッシャー27だ。白い艇体に映える、家族や仲間の笑顔を見てみたいもんだと思う。

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コメント

JUNさん、お疲れさまです。

いい船ですねぇ!!

波さえなければビロウ周辺どころか日向沖の漁礁まで攻めれますね。

エサ釣り・ルアーといろいろやってみたいですねぇ!!

お誘いメールお待ちしてます!!!

ロッカーTさん

先日から、どうもです。
11日から14日まで天草オフ会で、へろへろになって帰ってきました。

これと同型の船が宮崎で売りに出ていて、そちらは船体は古いのですが、
115馬力のエンジンがついていたりして、ちょっと迷ったりしております。
また、富美丸も、まだたいして稼働していないので、富美丸をもっと
楽しんでからでもいいかなと考えてみたり…。

本格的に寒くなる前に、一度、ご一緒させていただければと思います。
その時に、富美丸の評価もしてみてください。
また、ご連絡しますね。

私もUF-23に4年間乗っていましたが、なかなか楽しかったですよ。
UF-23は4人で所有していましたが、5月に2人で新たにUF-26を購入し、毎週のごとく舞鶴湾・若狭湾を釣行しています。

3年落ち、アワーメーター34時間の極上艇でした。しかし、2人共有でも結構な出費で、小遣いがピンチです。

船は26フィートを境に、圧倒的な差が出ますね。たった1メートルほど長くなっただけなのに、スピード・安定感は雲泥の差です。少々荒れてもへっちゃらです。

そうそう、エンジンは4サイクルしかダメですよ。船内外機のディーゼルなら別ですが。

宮崎に行ったら、両方の船に乗せてくださいね。
http://sea.ap.teacup.com/fishing-story/

うーん。UF-26、うらやましすぎる。
ちょっと調べてみたけど、ビルジキールがついて横揺れが少ないし、
風流れ性も考慮されているみたいね。
走ればクルーザー、止まれば和船で、
これ、ほんとに理想の釣り船なのではないかなあ。

人生の楽しみと、お金まで分かち合える友だちがいるのも、
素晴らしいことだよね。

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