映画>のだめカンタービレ最終楽章・後編
『のだめカンタービレ最終楽章・後編』(武内英樹/2010)。
そんなわけで後編を見に行ってきた。ファンにとっては、のだめと千秋の長い旅の終りを見届けにという心境なんだろうと思う。平日の午前中というのに、けっこうお客は多かった。チケット売り場で、「のだめカンタービレ・ポストカード」というのをもらう。
内容は...。上映中のやつだから控えた方がいいんだろうな。よほど良いか、よほど酷ければ書くけれど。つまり、そのどちらでもないということ。
前編を見た時も感じたことだけれど、コミックなりドラマなりを経ないで、いきなりこの映画を観たとすると、なんのこっちゃらわからんのではないかなと思う。
原作を読んで映画を観ると、たいていの場合は失望なり不満なりが出てくるものだけれど、この映画については、コミックを読んでいない自分的には「ドラマ版ヨーロッパ編の続き」なので、それなりに楽しみに待つことができたし、観ることもできた。ここらへん、『ロード・オブ・ザ・リングス』と『指輪物語』の関係とは、だいぶ異なりそうなのでご注意のこと。
映画版になってからののだめは、どうも悩みが多くてぐちゃぐちゃしてて、ぱっとしないわけで、日本にいた頃の明るいのだめを知らなければ、「暗くて不潔で変な子」でしかないように受け止められてしまうのだろうと思う。そんなのだめを、千秋がなぜあそこまで追ってしまうのかも、たぶんわからないことと思う。実に残念である(笑)。
とりあえず、のだめをめぐる長い旅は終わった。
2006年のドラマ11話、2008年のドラマ2話と合わせて、全15話となる長いストーリーの中で、印象に残ったキャラは、主演二人をのぞけば、vn.峰龍太郎(瑛太)、vn.三木清良(水川あさみ)、ob.黒木泰則(福士誠治)、cond.フランツ・シュトレーゼマン(竹中直人)なんてところ。特にR☆Sオケで黒木君がやったモーツァルトのオーボエ協奏曲ハ長調は、けっこうしびれた。水川あさみは、赤いドレスとヴァイオリンが異常に似合っていて、ビジュアル賞はこの人。
役者としては、竹中直人のシュトレーゼマンは特筆もので、あんなこと、誰にもできるものではない。色黒の日本人が金髪のカツラをかぶって、変てこな日本語を話すというだけで、この物語が「もとは漫画である」ということを規定してくれるので、何が起こってもよい。むしろ何でもありこそ望むところであるというフレームを示すことができたと思う。名演というわけにはいかないので、怪演としておくけれど、古来、演技において怪演と呼ばれることは最上にして無二の誉め言葉であることは、小沢昭一の例をみればわかるのだ。
加えるならば、のだめの実家における両親(岩松了と宮崎美子)の、ほぼネイティブに近い大川弁のやりとりには、ひっくり返って喜んでいた。「でけん」という台詞が、パリの情景の次のシーンで出てきたりするのも、いいセンスだったと思う。
なんだかんだいって、SオケからR☆Sオケのあたりがドラマとしても音楽としても、豊かで面白かった。ドラマ版はレンタルDVDもあるので、ギャグ好きで音楽好きな方は、見てみるとよろし。
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