2009年11月29日

内藤大助vs亀田興毅

えらく雰囲気が盛り上がっていたので、一応、書いておかないとなということで。亀田家といえば日本を代表するヒール一家であるわけだけど、ワタシは基本的にああいう生き方には共感する。

何もない家庭に生まれ、将来もおぼつかなく、ただ、夢だけを頼りに子供の頃からボクシングしかやっていないという生活を続けてきた彼らが、乗っかってきたTV局と相乗りしながら、さまざまな言動やパフォーマンスでもって、ボクシングに何の関心もない人たちをTVの前に引きつけ、大金をつかんでいくありようは、戦略として見事というしかないし、それを徹底できることもまた、見事というしかない。

ボクシングというのは、頂点に立とうすれば、ただ強いだけではどうにもならないジャンルであって、長い長い忍耐と精進を必要とする。それを子供の頃から持続しつづけているというだけでも、前代未聞の一家だろう。

一方、内藤大助もまた、新人王、日本王者、東洋王者、世界王者という道のりを、人よりもずいぶんと時間をかけて歩んできた。仕事もし、家庭もありと、ボクシング以外のこともたくさん背負い込みながら、35歳の今日まで世界王者であり続けているというのもまた、前代未聞であり、途方もないことだと思う。

今日は、この前代未聞の二人が対戦した。因縁をあおる向きもあったけれど、プロレスとはちがうのだから、リングの上に上がれば互いの戦略と戦術があるだけだろう。

内藤大助という選手は、こういう選手ということができるけれど、亀田興毅にはまだそれがない。ガードを固めて、きれいなストレートを繰り出すファイターとして戦歴を重ねてきたけれど、フアン・ランダエタとの二回目の試合では足を使ったボクサースタイルで圧倒した。ノーモーションの左ストレートやボディフックなど、パンチの記憶はあってもボクサー全体としての印象が薄いのは、まだまだ未完ということなのだろう。

試合は、内藤が前に出て打ち合いに持ち込もうとするのに対して、亀田が待ちのカウンター狙いという図式で、お互いに決定的な場面を作ることもなかったけれど、序盤から中盤にかけての緊迫感は、なかなかのものだったと思う。

記憶の中では、坂本博之VS畑山隆則が日本人同士では最高の試合だったと思っているのだが、さすがにあのレベルには遠かったけどね。あれはまあ、奇跡の試合だったから仕方ないか。

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