2005年7月26日

映画>日本海大海戦-海ゆかば

東宝作品のリメイクを意識したのか、14年後に東映で制作された『日本海大海戦-海ゆかば』(1983 東映 舛田利雄監督)。

旗艦三笠乗組の色男の軍楽隊手(沖田浩之)の視点から、日本海海戦を描く。昨日の東宝のよりも、きちんと作ってあってキャラ立ちもしっかりで、映画的な映画といえる。

そういえば、「坂の上の雲」でも、元軍楽隊手河合氏の証言が重要な位置づけで登場しており、これがヒントになったのかもしれない。戦闘時、軍楽隊手は信号助手、負傷者介護などの役割を与えられていたという。

史実の部分も、わりあい忠実で、秋山真之参謀もちゃんと変人めいて描かれているし、東郷平八郎(また三船敏郎)の言行や振る舞いも、それらしい。興味深かったのは決戦前に三笠艦長伊知地彦次郎大佐(薩摩)が、総員を集めて行ったという演説。東郷もそうだったけれど、薩摩言葉も進歩していた(笑)。

同じく決戦前に、軍医長の提案で行われたという艦内の一斉清掃と消毒、救命ボートに海水とスチームを注いでの総員風呂、新品の戦闘服への着替えも、ちゃんと描かれていた。

こういうところがちゃんとしていてくれると、多少ストーリーがクサかろうと、身を入れて観てみるかという気になる。いやいや、沖田浩之。なかなかの演技でありました。

ちなみに、日本海海戦ものを2本続けて観たのは、小村寿太郎の記事を書くためもあった。今日は小村記念館の館長さんと会い、小村や小倉処平を生んだ飫肥藩の教育や気質について、大きな示唆をいただいた。安井息軒親子による藩校振徳堂の教育は(多くの明治のパイオニアたちと同様に)、筋金入りの言行一致的精神を叩き込んだようだ。

朱子学の精神と漢籍の素養と、それぞれの分野における洋才とをもって、あの戦争を戦った者も多かったのだろう。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.fishing-forum.org/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/943

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)