2005年6月 8日

映画>笑の大学

昼間、ほとんどこれと似たような状況があったので、感慨深かった(笑)。

三谷幸喜原作の同名の舞台を、星護監督で映画化。時代は昭和15年、ところは浅草。いわゆる「時節柄」というフレーズが、日本中のあらゆる空間を埋めつくそうとしていた頃の、喜劇作家と検閲官の二人芝居。

検閲官・向坂役が役所広司、喜劇作家・椿役が稲垣吾郎。2時間の映画の、ほとんどすべての時間が、この二人の取調室でのやりとりで終始する。こりゃ、しんどかったろうなと思うが、もともと舞台作品なので、脚本も練りに練られているのだろうな。

ある時代、エノケンは、彼が登場すること自体が反体制として受け取られたという。要するに、時節柄いかがなものか→時局にそぐわない→不謹慎である、を経て(この3段階を一瞬で飛び越えるのも日本人であるが)、笑いが憎まれていた異常な時代。そのエノケンの座付作家だった菊谷栄という人がモデルになっている。

コメディ映画「笑の大学」。と、文字面から浮かぶイメージとは、ちょっと遠い。相当な厚みを感じる笑いであり、作品だった。いい映画だったけど、ぼくにはこれでも重すぎる。たぶん2回目を観ることは、ここ数年はないと思う。

その直後、テレビで鈴木清順監督のインタビューをやっていた。昨日観た「けんかえれじい」の監督。

「思想も何もない。メッセージなんて、さらさら考えていない。映画は娯楽。こうやれば面白いだろうなと、それだけ。大体、生活のために撮ってきたんだから」

この人も、観なくちゃなあ。


『笑の大学』(2004/東宝/星護監督)

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