2005年3月24日

OOO-28EC(2)

というわけで、押しかけ女房にも似た成り行きの果てに、わが家にいすわったOOO-28ECについて。

現在のVGは、ボディがほど良く枯れてきて、もともと小さなギターで低音が足りないハイ上がりギターではあるのだけれど、その代わりに中高音の美しさはちょっと比類ない感じなわけです。昔のYAMAHAにも似た、きらきらとした中高音。特に1弦、2弦は良い感じ。

OOO-28ECは、特に2~4弦の音が、落ち着いた深みのあるもので、ちょっとスタインウエイのピアノみたい。あと6弦などは、ボリュームもあるのだけれど、芯のある低音で、しっかりと音楽を支えてくれるような鳴り方をしますね。これ、さすがです。ギターとしての音の出方をよくわきまえているというか。

このギターを調子よく弾いていると、弾きながら体が揺れてくるわけです。演奏しながら、自分でのってくる。いつもではないけれど、そういうことがままあります。楽器というのは、文字通り楽しむ器なのだということがわかりました。そういう楽しさは、もしかすると、このくらいの値段になってこないと、なかなか味わえない世界なのかもしれません。

理由としては、ネックの押さえやすさとか、わりとモニタースピーカー的な音の出方の誠実さとか(これ、オーディオな人でないとわかんないか)、むずかしいポジションでも、そこそこ音になる演奏性とかが影響してるんだろうと思うのだけれど、やはり感性性能としかいいようのない部分がありますね。弾いて、音を出しながら煮詰めていったら、こうなったという。

かつて坂田明が「勝負というのは勝ち負けではない」という、深いようなわかんないようなことをいったけれど、そのデンでいくなら「楽器というのは音ではない」。バランスとか粒立ちとか音色とか、そういうことを分析的に突きつめていっても、どうにも説明のつかないものがあって、その説明のつかないところに値段がついている。なるほどなあと思うわけです。

D-28みたいに、バリバリと雷が落ちるような迫力があるわけでなし。D-35の高音のベルサウンドとソリッドな低音で、華やかなドンシャリになるでもなし。D-18の深くて甘やかな音でもなし。

OOO-28ECというのは、サウンド的にはきわめて普通のマーチンギターであって、その小ぶりのボディ、短いネック、組んだ脚に載せやすいといった形状を考えれば、これ、あんまりややこしいこと考えないで、リビングのソファで「どれ」といって、彼女なり奥さんなりを前に、適当な曲を適当にやる。そういう楽器なのかもしれないなあと思い始めているところです。そうすっと、クラプトンってけっこう趣味いいんじゃないか。そうなのか。

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