2008年3月12日

銀塩・コンパクト・ポジ・スリーブ

今、手元に、キヤノンEOS-1、ミノルタTC-1、リコーGR1、コニカHEXERの4つの銀塩カメラと、キヤノンのIXY 910 ISというコンパクトデジカメがある。特に写真が趣味ということはないのだけど、いつのまにか増えてしまった。

もっとも出番が多いのはGR1で、次にTC-1とIXYが同じくらい。ちょっと画角を変えてみたい時にHEXER、EOS-1は滅多に使わないのだけど、こないだ仕事でカメラマンが行けなくなって、しょうがないのでスクランブルで自分で撮った。さすがにきれいだった。

上のようなラインナップであるからして、そろそろ、デジタル一眼がいるかなあと思い続けて、何年かたってしまった。どうもほしいのがなくて困る。それに第一、製品のサイクルが液晶テレビ並に早いので、わーい買った買ったと喜んでいても、2年後くらいにはどうせ買い換えたくなるに決まっている。

そうなると、レンズは使い続けるだろうから、どこかひとつのメーカーと心中しなくてはならない。それもなかなか決まらない。一応キヤノンかなとも思うけど。

ひさしぶりに、撮りためていたスリーブを10本ばかし整理した。整理といっても、フジフィルムのRFスペアというシートにスリーブを入れて、付属の紙に撮影月と撮ったカメラの名を記入するだけ。これをRFボックスに収めておくというのが、今のところベストの保管法だと思っている。ところが、怪しからぬことに、フジはこのRFボックスの単体売りをやめてしまい、マウントシートとセットのものしか販売していない。ということは、これすらも在庫限りになるにきまっている。まあ、それはそれとして。

銀塩か、デジタルかという話については、もう自分なりに結論が出ている。銀塩である。第一に、気に入ったカメラがあれば、10年は使える。うまくすれば20年使える。大切にすれば30年使えるかもしれない。これだけ使えれば、「道具」といっていい。その意味でデジカメはまだ、写真を撮るためのアイテムや手段とはいえるけれど、「道具」といえるほどの完成はない。手になじんだ頃には、すっかり陳腐化してしまう流れに乗るのも癪である。トヨタの車を買わないのは、そういう商売が世界一上手だからだ。

もっとも、コンデジであれば、そんなにシャクだということもない。あれは家電として割り切ることすらできる。別にトースターの型が、半年で古くなったからといって怒る人はいない。一方、一眼レフカメラは、そうではない。あれは、パンさえ焼ければよいという割り切りをするには、愛おしすぎる形をしているのだ。

第二に、保存の問題。これはメディアとフォーマットの二点があるが、どちらも日進月歩、これで大丈夫というものは永遠に現れそうにない。FDが消え、ZIPが消え、MOも風前の灯で、そろそろCD-Rも使う人が減ってきた。今はDVD-Rが主流だけど、これもそう長くはない。「MOは壊れにくいので安全」という触れ込みだったが、実際には壊れまくった。CD-Rは20年もつという人もいれば、安全マージンは数年という人もいる。製法でもちがうので、ほんとのところはわからない。従って、良さそうなメディアが現れるたびに、そちらに移行することが必須になるのだが、メディアはそれでいいとしても、フォーマットはそうはいかない。

パソコン通信で初めて写真を見た時は、Q4というフォーマットだった。今、これを表示できるプログラムはあるにはあるけれど、もはやQ4自体、前世紀の遺物になった。それに、結局あれはニフティの地域文化に終わってしまったフォーマットだった。

その後、ほどなくJPEGの時代になり、最近はHDDの大容量化でTIFFが見直されたりしたけれど、この先、おそらくすぐに、画像劣化の少ない圧縮方式が普及するだろうから、JPEGで保存した写真のクオリティがもったいなくて仕方ない、なんてことが起こる。

元がフィルムであれば、デジタルフォーマットなんか、なんでもいいのだけど、デジタルの場合、すべての画像をRAWで撮って保存しておくことでもしなければ、クオリティは保てない。そのRAWも、メーカーごとにフォーマットは独立独歩で、完全に機種に依存しているので、変化への対応性は弱い。

保存サイズにしても、300万画素時代ですら「PCで扱うなら横幅1200pxもあれば十分。600でもいける」なんてことをいわれた。鵜呑みにして、600pxで保存していたら、モニタの高解像度化が進んで、相対的にちっちゃくなってしまった。プリンタの性能も良くなったので、L判で印刷できればよい、なんてことはもはや誰も言わない。

銀塩だと、まあ、ポジで20年も経てば多少退色はあるにしても、モノはモノとして残るので、なくなるとか、使えなくなるということはない。大事な写真なら、その時代のフォーマットでデジタルにバックアップしておくこともできる。今、家にある普及型のフィルムスキャナーでも、5328×3576で保存できる。画素数でいえば1900万画素だ。

ランニングコストでいえば、年間36枚撮りで50本撮るとして、費用は75000円。デジタルは実質タダだけど、レンズやメモリをそのまま残して、10万円のボディを2年で買い換えるとすれば、その差は縮まる。PCのメモリを補強したり、画像処理ソフトを買ったり、バッテリー代などの消耗品まで入れれば、さらに縮まる。まあ、趣味の世界であれば、無駄なお金というものは本来ないので、この点はどうでもいいのだけど。

結論としては、銀塩を主に、バックアップ用にデジタル化するというのが、今のところ、もっとも賢いように思うのだが、そう考える人がきわめて少数派であることは、昨今の状況からも明らか。コダクロームすらもなくなってしまった。

さて、コンパクトにこだわるのは、単に小さいからというだけで、たいした意味はない。ただ、いい単焦点レンズを使ったものは、たとえばEOS-1+Lレンズと絶対的なクオリティを比べても、いい勝負をする。持ち味ということでいえば、GR1にはGR1の、TC-1にはTC-1の明確な個性があって楽しい。

ネガかポジかということでは、ライトボックスでポジをルーペでのぞくのが、何よりも美しいと思っているのでポジ以外にはない。マウントかスリーブかという議論については、シャッターを押した順にきれいに並ぶので、ぼくのようなスナッパーにはスリーブの方がいい。つまらない写真ばかりでも、ただ時間軸に沿って並ぶだけで、思い出にはなるという利点がある。

そんなわけで、「銀塩・コンパクト・ポジ・スリーブ」なのだ。もっとも、実用上の要請で、近くデジタル一眼を買うことになりそうではあるのだけど、これを選ぶ時には、今までのカメラに対するものとは、別の価値観で選ばないと仕方ないかな、と思う。アコースティックギターとエレキギターが、全然ちがう楽器であるのと同じように(実際、ぼくはエレキをまったく弾けない)、成り立ちも用途もちがう種類のモノであるという風に割り切れば、まあ楽かなと思う。

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コメント

僕はD70使ってますけど、買い換えたいっていう気にはあんまりなりません。そりゃきっと新しい方が良いんでしょうけど、絵を見てそんなに差があるとも思えません。

そんな僕が今買うとしたら、レンズがニコンなのでニコンの一番安いのです(^^;)。

あ、デジタル一眼はローパスフィルターにゴミがつきます。単純に埃なら良いんですが、焼き付いたようなのがつきます。専用のクリーニングキットでも取れません。というか、僕のは取れませんでした。

友人がジャパネットたかだでニコンD60ダブルズーム付きというのを買いました。どんなカメラでも下取り1万円だと言うのでキャノンのオートボーイを上げました。
〆て10万ちょいだったらしいです。毎月3.000円払いとか。
電池入れないと軽くて飛びそうだと言ってました。

ワタシはCanonのD60を使っていますが同名でも随分違います。
ボディーだけなのに25万もしたのですよ。
重いし・・・。

なんだか鮎竿の自慢話みたいです。

レンズ群の充実度からみたらやっぱりCanonでしょうね。
ボクは親父のレンズ遺産があったのでPENTAXにしましたが、今のデジタル一眼ではCanonが妥当だと思います。

最近ツアイスレンズを使いたくなってSONYを密かに考えています。でもお金が・・・・・(^^);

しんさん

実は、軽量を買ってオリンパスのE-510、E-410を狙っていたら、来月、E-420が出るというではありませんか。すると、来年にはE-430になるにちがいない(^^;)。あのくらい小さなボディが、他の会社から出なければ、たぶん、ぼくは出るたびに、新しいのがほしくなると思います(^^;)。

あれで、D40くらいの基本性能があればなあと思うのですが、どうもすぐに実現してしまいそうで、こうやって待ち続けている間に、年をとってしまうのね、といった感じであります。とりあえず、WEB用にシグマのDP1か、リコーのGRデジタルⅡは、ほしいな。

秋山さん

一時期の鮎竿もそうでしたね。年々、新しく、軽くなっていって。でも、あれは、短い夏にすべてを燃やし尽くそうという、かなり特殊なヒトビトの話でしたから(^^;)、あれはあれでよかったのでしょう。ぼくの場合、デジタル一眼が、(趣味としては、今のところ)必要ではないので、どうも選択にも、鮎竿ほどの必死さがないのかもしれません。

あるぽさん

今、持ってるキヤノンのレンズを生かそうと思えば、フルサイズのEOS-5くらいしか選択肢はないのですけど、何しろ、レンズだけでも巨大で重たいので…。ああ、D40を買って、トキナーの広角ズームを使えば、ちょうど30mm~50mmくらいの標準レンズになるのかな。これはけっこう、キレのいい常用レンズになるかも…。お、いいことがひらめいたような気がしますぞ。

JUNさん

僕も新撰組の如き銀塩マニュアル金属ボディ派だったわけですが、一眼デジに転んで以来、すっかり飼い慣らされてしまいました(^_^;)

焦点距離の違和感だとか、操作感だとか、最初は色々とチグハグに思うことが多かったですが、今はランニングコストの安さを武器に、何でもかんでも試行錯誤して撮るのが楽しいです。
機材偏重主義だったのが、作品主義になった気がします。
作品と呼べるしろものじゃないかもしれませんが(^_^;)

レンズの関係でペンタックス(今はK-10D)ですが、フィルムでは良かった高価なレンズが、デジではろくなもんではなく、デジタル専用設計の安いズームの方がはるかに良かったなんてこともありました。
アコギとエレキの違いというよりも、LPとCDの違いに近いかな?と思っております。

ひろすけさん

そうですねえ。おそらくぼくも、デジ一を買えば、すぐに慣れてその利点を賛美するにちがいないのです(^^;)。

それはそうなのですが、書き忘れていた銀塩の理由がひとつあって、今、家族の写真など撮っているわけですけど、スリーブで保管しておけば、ぼくに万一のことがあった時、「あ、お父さんの撮った写真、ここにあった」というわけで、すぐに見てくれるかな、と。

これが、保管先がPCだと、HDDの奥底に埋没しているし、データの扱い方もわからないだろうし、ということで、モノとして残しておいてやるか、というのがありました。

ところが、時々、家族でないヒトの写真もあったりするのよね(^^;)。

全く同感です。
色々な場面、場所で同じことを解説してまわってます。。(;^_^A

保存の問題、美しさの問題、カメラの問題、どれをとってもみんな心の底では感じてるんじゃないかと思うのだけど、時流に適応「してしまってる」というかなんというか・・・。

誰がどう言おうと銀塩に決まってるじゃない!
みんな、おかしいんじゃないのか。。

唯一といってよいデジタルのアドバンテージは、「ネットで使用」すること
だけです。それ以上でも以下でもありまへんわ。。。(^ ^;

サルモサラーさん

お互い、少数派になりましたね(^^;)。フィルムメーカーとしては、特にポジは、ほんの一部のプロとハイアマチュアだけがターゲットになるのだそうです。

このまま、時代の臼の中で、銀塩文化がすりつぶされていくのだとしたら、ポジより先にネガが消えるかもしれませんね。ポジは、まだ趣味の領域で残るとしても。

近くのカメラ屋さんで、ポジの現像を引き受けてくれているうちは、ポジでいきたいと思います。あのコダクロームも、1年ほど前に生産をやめましたが、もし今、手持ちのフィルムの現像を頼むとしたら、カンサス州まで送るそうです。なんか、時の流れにメマイがしてくる話であります。

今D40ってゆーのの価格見たら、4万円しないんですね。
なんか知らんが欲しい(^^;)。軽くてちっちゃくて老眼に優しいなら、絵の質は問わない(^^;)。

ちょっと前にサーフィンの水中撮影しようと思い立って、オリンパスの防水のコンパクトの買ったんですけど、値段同じようなもんです。

僕のメインのレンズはタムロンのマクロなんですが、同じレンズでキャノンとニコンで比べたことがあります。どうしてかわからないけど、ニコンの方が絞れます。大発光で絞って深度を稼ぎたいという場合はニコンのがアドバンテージあります。D70とkissの比較ですけど。

しんさん

ほんと、軽くて小さくて、高性能な一眼レフが、ぼくもほしいです。今の時代、本気でやれば軽くても小さくても、ちゃんとしたのは作れそうなものなのですが、やはり、いいものは重いという図式は昔のままみたいですね。

ヘキサーくらいのサイズの、レンジファインダー型でレンズ交換ができるデジカメが普及すればいいのになあと思います。売れさえすれば、安く作れるはずなのだけどなあ。重たいカメラは、ほんと、持って歩きたくないので。

P.S.

ごめん。ぼくが書いたの、D40じゃなくて、40Dのことでした(^^;)。Canonです。

銀塩とデジタルの併用って、結構両立します。
デジイチとフィルムイチ(こんな言葉ないですな(^_^;)を併せて持ち歩いたことがありましたが、同じレンズが、違う焦点距離で使える利点がなかなか重宝しました。交換レンズならぬ交換ボディーという発想です。
今、フルサイズデジタルにこだわっているのはキャノンくらいになってしまいましたが、センサーや画像エンジンの進歩、広角系レンズの充実で、それほどこだわらなくてもヨイのでは?と思うようになりました。

デジイチのかなり大きな利点として、ISO感度が自由に設定できるところがありますが、これはシャッタースピードと絞りの組み合わせ自由度が格段に広がって、目からウロコでした。
深度をあれこれ試したい花の撮影などでは、大きな味方となってくれてます。

家族写真などは銀塩。仕事や、便利さを享受したいときはデジタルと、使い分ければ幸せ(^_^;)になれると思われます。

近年、モノクロフィルムの現像を昔とった杵柄してみましたが、楽しいもんですね。出番が減ったとはいえ、銀塩カメラも捨てきれません。

いつでも感度を変えられるのは便利ですね。ぼくはずっとISO100なので、昼間の体育館ですら、苦しいことがあります。だもので、一脚を持ち歩こうかとしているところです(^^;)。

今のところ、銀塩、デジタルを問わず、一眼レフそのものを使う機会がないので(というか気力の問題か)、画角もほぼ28mmで、時に35mm。最近は、大口径の35mm、50mmでポートレートを撮るために、ヘキサーRFか、コンタックスG2でも買おうかという感じになっていますので、どうも世の中の流れより、だいぶ後の方を歩いているような気がします。

まあ、でも、仕事の道具としては必要なので、デジ一のこともちゃんと考えなくちゃなあ。

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