2007年11月11日

映画>人生劇場 飛車角

『人生劇場 飛車角』(沢島忠監督/1963)。

昨夜観たものと、ほぼ同じ筋立てだけど、こちらの青成瓢吉は、気のいい若旦那であって、主人公は鶴田浩二演じる飛車角。準主役の吉良常は月形龍之介で、加藤泰版の田宮二郎より、ずっと年をくって、貫禄のある吉良常となっている。

この映画の見どころはやっぱり鶴田浩二ということになるわけだけど、加藤版の飛車角(高橋英樹)の、明るく、キレがよく、愛嬌もあり、かつ深みと大きさを感じる飛車角に比べてしまうと、よくもわるくも鶴田浩二そのものという感じではある。人間の弱さ、どうしようもなさは、加藤泰版の方が、うまく描かれていた。

ラストシーン。宿敵に向かって手負いの飛車角が、一人で坂をよろよろと登っていくところで終わってしまう。一瞬、そりゃないだろうと思うわけだけど、この逆光の登り坂のシーンは、その後のヤクザ映画の時代に続いていくことになる。ヤクザ映画の元祖のような作品なのだそうだ。

で、この後、どうなったのか。飛車角の懐には、吉良常が青成瓢太郎の形見として持っていた拳銃がしのばせてあるので、たぶん、一発撃ったと思うね。おれは。でも待てよ、あれには弾丸が入ってなかったはずなのでは。じゃあ、何のために飛車角は、思わせぶりにあの拳銃を持っていったのだ。なんて議論が、当時、沸騰したことと思われる。

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