2007年9月24日

映画>頭上の敵機

『頭上の敵機』(ヘンリー・キング監督/1949)。

1949年公開のアメリカ映画。イギリスのアーチベリー飛行場から、ドイツ本土への白昼爆撃を敢行したB-17飛行隊の物語でグレゴリー・ペック主演とくれば、大体、どんな映画だか見当がつきそうだけど、こういう見当はまた、大体外れるものである。

なぜだか、ぼくの観た戦後間もないアメリカの戦争映画は、アクションよりも人間ドラマの印象が強い。それは指揮官と副長の葛藤であったり(『太平洋航空作戦』『深く静かに潜航せよ』)、頭のイカれた指揮官をどうすっかという話であったり(『ケイン号の叛乱』)するのだけど、わがニホン陸海軍の軍記からすると、そういうカットウを抱くこと自体、どちらも相当甘い話だと思う。

この映画でも、隊員に人気があり、隊員を慈しみをもって扱う指揮官が、それゆえの甘さを指摘されて交代となり、後任としてグレゴリー・ペック准将が乗り込んでくる。すると、隊員全員が異動願いを出すというわけだ。こんな話、ほんとにあり得たのだろうか。4日続けて出撃で、心身ともに消耗して、正常ではいられないのだそうだ。

お前ら、一度、知覧に来いよと言ってみたくもなるわけである。飛ぶ飛行機があるだけでもありがたいんじゃないのか。あるいは前線で、飛行機乗りが機銃掃射や爆撃で地上で死んでいった無念など、わかるまいと。まあ、ぼくだってわからないわけだけど。

そのようなニホンと米英の土壌の違いはおくとして。映画としては、とてもよく出来ていた。爆撃隊の話であるにもかかわらず、大半は地上シーンで人間ドラマ。と書くと、大体見当はつきそうだけど、その見当はたぶん外れている。面白いのです。

今日は、図らずも、アニメ、コメディ、ドラマと戦争映画三本立てでありました。

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