映画>史上最大の作戦
『史上最大の作戦』(監督:ケン・アナキン、アンドリュー・マルトン、ベルンハルト・ヴィッキ /1962)
中学生から高校生の頃に二度ほどテレビで観て、あの教会の屋根に引っかかって仲間が虐殺されるのを見る空挺隊員の、神のような高みの視点の作り方に感心したことを覚えている。
子供の頃から憲法九条の理想の高さに、コクミンとして誇りのようなものを抱きつつも、戦争映画の面白さにはひかれてしまっているのだが(最近はこの矛盾も恥ずかしくはない。人は、やっぱりどこか戦争が好きなのだ。それを自覚しつつそれを避けようとするから「理想」なのだ)、この映画は、人が死ぬのことのリアリズムや過剰な感傷を避けて、ひたすらスケールでおしていく映画という風に記憶していた。立場としてはもちろん連合国側であり、豪華なオールスターキャストを集めたわりには掘り下げに欠ける、いわば戦勝国サイドのお気楽な歴史映画、という認識だったのだけど、今回、あらためて観てみると、映画としての出来がとてもいい。
これだけの歴史的なイベントを、一兵卒から元帥クラスまで、どちらに濃淡が偏るということもなく、それぞれに必然の場面だけを、カメラをさくさく切り替えながら、余計な入れごとや説明もなく、ほんとに気持ちよく見せていくので、3時間という上映時間がまったくあっという間だ。これは相当にすごい映画なのではないか。
The Longest Day という原題を、水野晴男が『史上最大の作戦』と訳したこともヒットだったと思うけれど、このキャストもまた史上最大級なのだろう。
なんとなく名前を知っている人だけでも、ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、ロバート・ミッチャム、メル・ファーラー、ロバート・ライアン、ジェフリー・ハンター、ポール・アンカ、ケネス・モア、リチャード・バートン、ショーン・コネリー、ジャン・ルイ・バロー、アルレッティ、クルト・ユルゲンス、ピーター・ヴァン・アイク...。
ジャン・ルイ・バロー&アルレッティなんていう『天井桟敷の人々』のコンビが、ふいと脇役で出てきたりする。
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