2005年9月27日

TC-1とGR1ふたたび

ミノルタTC-1とリコーGR1。このどちらがヨイのかについては、購入前も含めてこの数ヶ月、ずっと考えていた。今、幸いにも2台とも手元にあるのだが、この命題についてはいまだに結論が出ない。ただし、それぞれの性格についてはわかってきたこともある。

仕事(編集)の現場にサブカメラとして持ち出す時は、迷わずGR1を選んでいる。その最大の理由は操作性の良さだ。

構え方に特別の工夫がいらないことと、ストロボスイッチや露出補正ダイヤルが独立しているのが大きい。サブカメラに露出補正はいらないだろうと思われるかもしれないが、カメラ自体がややオーバー目の設定なので、ぼくは風景や街中を撮る時はデフォルトでマイナス0.5としている。

さらに焦点距離をあらかじめ2mに固定してくれるスナップモードが使える。28mmレンズの被写界深度が生きて、たいていの条件ならスナップモードでOKなのだ。こうした特性の結果、あっと思った時にぱっと撮れることになる。

「あっ」から「ぱっ」までの時間がきわめて短くて済むのが、GR1の最大の利点かもしれない。最強のスナッパーは、やはりGR1なのだろう。

対してTC-1は、絞り優先AEでプログラムオートすらないので、まず絞りを決めなくてはならない。そしてストロボや露出補正をするたびに、一度モードダイヤルを回してから切り替えることになる。スナップモードに相当する機能もない。

ここらの操作性は慣れるとそうでもないのだが、GR1に比べるとどうしてもひと手間かかってしまう。そして構え方の問題がある。普通のカメラの持ち方では使えないので、TC-1で撮る時は、そのたびにTC-1の持ち方を思い出さなくてはならない。

なんだ、それじゃGR1の圧勝ではないかと思ってしまうのだが、話はそう簡単ではなくて、TC-1の写真の美しさ、特にぱっと見の、大向こう受けする美しさはちょっと比類がないのだ。仕上がってきたスリーブを見た瞬間にわかるほどのちがいがある。とにかく色が濃く、鮮やかで、ドラマティックだ。

ひと手間かかる操作性や独特の構え方は、TC-1だけ使っている人ならすぐにクリアするだろうし、そうやってカメラに体をなじませていくのも写真の楽しみ方のひとつだろうから、実際には問題にならないのかもしれない。

簡単にいうと、GR1は機動性に優れた最強のスナッパー、TC-1はじっくり腰をすえて作品を撮るためのカメラとしての特性を強くもっている、といえるのかもしれない。もちろんGR1にも気合を入れて作品を撮るための懐の深さはあるし、TC-1でスナップを撮ることもできる。あくまで比重の問題なのだが、GR1の方が柔軟性が高くて扱いやすいとはいえるだろう。

レンズについては、GR1は繊細で画面の隅々までしっかり写しこむ感じで透明感も高い。TC-1は空はあくまで青く、緑はあくまで濃く、赤はまぶしいほど鮮やかで、ドラマティックに写る(写真に出会いやすい。すべてそうなるわけではない)。

共通しているのは、どちらも惚れてしまいやすい、はまりやすいカメラだということだ。ぼくはここ1か月ほど、GR1ばかりバッグに放り込んでいたのだが、最近、TC-1のちょっとした気むずかしさと、その見返りとしての写真の出来が妙に恋しくなっている。

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