2005年7月24日

オールスターゲーム

何気なくTVをつけていた昨夜のオールスターで、2回、「ぎゃははは」と笑った。野球で笑う時というのは、単にお笑い風に面白いからではなくて、野球の本筋を行きながらそこからの飛躍を見せてくれる瞬間だ。喜びであり、感嘆でもある。スゥイングともいう。長く、そういうことがなかったから、楽しかった。

まず、工藤公康の速球を、あの独特のオーバースイングでレフトスタンドに運んだ城島健司の一打。出てきたばかりの工藤が感慨に浸る間もなく打ち返されたタマは、阿呆のように空中高く舞い上がり、あらあらあらあらといっているうちにスタンドに飛び込んだ。直球勝負を要求されて思わず投げていく工藤と、それをたがわず打ち返した城島は、そこに野球の神様まで呼び寄せてしまった。こういう芸当はアマチュアにはできない。だからお金を払う価値がある。

次は、例の新庄の黄金バットによる予告ホームランポーズ。ほぼゲームが決まった中で登場させた伊東監督のセンス勝ちでもある。そういえばちょうど城島から始まる打順の回に、工藤を登板させた落合監督もよかった。監督推薦で身びいき的に起用した荒木・井端の中日二遊間も、なるほどと思わせるメジャー並の守備を見せてくれた。こういう、野球をよく知っている監督だと、野球はいくらでも面白くなるということ。

全体に、安心して見ていられるパフォーマンスのオールスターだった。日本の野球は、いつのまにこんなに野球の面白さに気づいたのだろうか。メジャーのオールスターのような特別な場所、特別な日という一種の荘厳さや神聖さはないけれど、十分に野球そのものを楽しめる、見どころの多いゲームだったと思う。

ふだんは、つまんないことばかり言っている解説者も、昨夜の三人(星野・福本・真弓)はよかった。コースがどうのスイングがどうの戦術がどうのといわないだけで、解説もあんなに面白くなるという見本。野球の面白さが奇跡のように、甲子園に現出した一夜だったのかもしれない。

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