2005年7月13日

天才とは外道のことだ

外道とは、もちろんレスラーの外道氏である。

プロレスを壊すものを、ほんのひとかけらも持っていないという意味で、また、何がプロレスかをよく知り、それを体現しているという意味で、邪道・外道こそ少なくともここ5年ほどのプロレス界における屋台骨のひとつだろうと思う。

特に外道がいい。10年ほど前、スーパージュニアに出てきた時の彼は、変な辮髪でぶよぶよにたるんだ肉体をもつ、いかにもインディの選手だった。今、彼らの肉体を見よ。かつてのパンクラス選手なみの極限の肉体を、月に20試合もする選手が維持しているというのは、それだけですさまじいことだ。想像を絶する節制がうかがえる。

外道クラッチというスカした技がいい。あの技の入り方と、絶妙のタイミングは観客にプロレス的な快感(つまりスイング感)を与えてくれる。大変ガラの悪いコメントもいい。天山に少し教えてあげてほしいものだ。

そして何より外道の素晴らしさは、技の受けにある。日本プロレス史上、あのくらい見事に技を受ける選手はアニマル浜口くらいしか思い浮かばない。外道がショルダースルーで飛んでいく姿は、それだけでプロだ。毛色はちがうが、かつての全日本四天王の素晴らしさも受けにあった。ほんとうに脳天から落ちるバックドロップは、誰が投げるかではなく、誰が受けるかによって決まる。

その天才・外道をあきらかに上回り、包み込み、コントロールする邪道という選手も底が知れないところがある。とにかく本質的なプロレスのうまさ、間の良さという点で、現時点の新日本のナンバーワンは邪道かもしれない。プロレス的なるものを、非常にしばしばリング上に出現させてくれるこの二人は、ぼくをようやくプロレスにつなぎ止めてくれている細い糸のひとつだ。

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