2005年5月 8日

こどものくにへ

八つになった真ん中の娘の誕生日。リクエストにお応えして「こどものくに」へ。いやいや、宮崎のお父さんとしては理想的な展開になってきたな。

ぼく自身、五歳くらいの頃に祖母に連れられて遊びに行った写真が残っているくらいで、歴史と伝統の遊園地なのだが、斜陽の宮崎交通運営であってみれば、当然ここも黄昏なのであって、最近の遊園地やテーマパークとは比べるべくもない。それでも、今の季節は別。初夏の宮崎の太陽は、明るく透明で途方もなく美しく、時代おくれの各種アミューズメントに遊ぶ子供たちや、見守る親たち、おずおずと手をつないで歩く高校生くらいのカップルなど、誰もが幸福そうにみえる。特に太陽がてっぺんにある正午頃ときたら、まったく突き抜けていた。ものを考える余地のない太陽。

たぶんヘキサー効果も加わっているのだろう。何かのスイッチが入ったように、景色が際立って美しく見えた。目に映る風景が、全部ベルビアなのだ。「写真を撮るってことは、ものを見るってことかもね」と、昔々、縁のあったカメラマン志望の女の子(当時)の言葉を思い出す。今まで、しょぼい遊園地だよなあ。とか、いくらこどものくにでも5時に閉めんなよなあ。とか、つづり券を買いにわざわざ中央入り口まで帰るのはあんまりだよなあ。とか、そういうコマゴマとしたモノゴトにおおわれて、いかにわが目が曇っていたかがわかる。

カメラを買うってことが、ものを見るスイッチを入れることなんだとしたら、これ、なかなかすごい文化なのではないか。記録以前の、認識論的な課題なのかもしれない。吉本隆明だ。懐かしいのう。

途中、子供が遊具で小さな怪我をし、即時使用停止。帰宅と同時に園長が菓子折りを持って詫びにくるという事件もあったのだが、ここはTDLではない。宮崎らしく、なあなあですませてしまう。それでいいと思うのだ。

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