さよなら、マック
さきほど、妻のマッキントッシュG4が荷馬車に揺られて売られてゆき、
わが家のマックライフが終わりました。
思えば1992年にⅡSiを買ったのが始まりでありました。
これはなかなかコンパクトで格好が良く、Ciほど尊敬はされていませんでしたが、どこかしらお洒落なところがあるマシンでした。
デザイン業界と関わりがあるといえばあるけれど、基本は編集者のぼくには、特に思い定めた目的もなかったのですが、買った夜などは、うれしくてファインダーを開けたり閉じたりしていたものであります。
メイン機は98ノートで、こちらでしこしこと文章を書き、
マックは何かビジュアルなことに使えるかもしれない。
そんな漠然とした思惑はあるにはあったのですが、いつの頃からか「デザインはデザイナーにまかせるべきである」という信念のようなものが芽生え、おかげで13年も前からマックを所有してきたくせに、PhotoshopもIllustlaterも、いまだにまったく使えません。これ、プロとしてのちょっとした誇りでもあるのですが、誰も理解してくれないでしょうな。
とにかく、普段は98ノートでDOSのFD98.exeなどというものを使っているわけですから、あのインタフェースはいうまでもなく別次元でしたし、何よりもハイパーカードにはひっくり返ったものでした。あれ、人類愛という言葉を思い浮かべるほどに、使い手に優しく理想の高いプラットフォームだったと思います。
ハイパーカードで遊ぶ「うにょ(UNO)」なんてゲームもあったっけ。
それから、Ci、POWER MAC 7800、8100、G4と計5台のマックとつきあってきましたが、さすがにインターネットの時代になって(それはつまりWindowsとIEの時代なのであり)、使い続けるのがしんどくなってきました。
締め切り間際の極限状態にある時に、デザイン事務所からWindowsで開けないファイルなど送ってこられたりすると「頼むからネット用にWindowsを用意してくれ」などという暴言を吐いたりもしたのです。
実際、制作業界だからマックは当然、というのは、もうなしなのでしょう。マックを使うならマックがWindowsにとってどういうリスクがあるか理解して、自分で対処できるスキルがないと、ネット中心の時代になった現在、ちとまずいのです。マックはネットにつないではいけない。つないでもいいけど、仕事でのやりとりに使ってはいけない。ただし、Windowsとマック両方の知識があり、うまくやりとりできるスキルがある場合を除く。そう考えざるを得ない状況になってしまいました。
今回、マックを手放したのは(パソコンを売るというのも初めての体験ですが)、OSを二つ管理するのに疲れた、ということもあります。いうことを聞かないのはWindowsだけでたくさんですから。
京都に住む友達のジョージBBさんという方は、元川崎の暴走族だったそうですが、マックに出会って人生が変わったといいます。たぶん、マシンとしての性能という以上に、ぼくが感じていた人間への愛情のようなものにひかれたのでしょう。
それにしても、こうしてマックライフが終わってみると、
Siがわが家に来た時の、希望にみちた高揚を思い出します。
いいマシンでした。いい時代だったのかもしれません。
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