本>方丈記私記

浸るような読書をしなくなって久しいのだが、寝しなに何かの活字がないと、わなわなと全身にフルエがくるという就寝時慢性活字中毒症が治ったわけではないので、そこらのものを手当たり次第に読むことは読む。 こんな風にあてどない読書なのだけれど、時々、いい本に出会う。堀田善衛『方丈記私記』。方丈記を読み返すついでに買っておいたも …

トマス・キッドの日々

男の夏は海洋冒険小説である。と、リキんでみるのだが、実はこのジャンルの作品はそう多くはない。しかも、ぼくの好きな18世紀英国海軍もの、となると、ぐっと少ない。だから、惜しみつつちょびっとずつ読んでいる。 この数週間は、英国のジュリアン・ストックウィンが執筆を続けている「トマス・キッド・シリーズ」。筆者は11巻まで書く …

本>文楽の「あばらかべっそん」

「あばらかべっそん」(桂文楽 旺文社文庫 1980)。あまりにも有名な文楽の芸談エッセイなのだが、ずっと絶版になっていて、ようやく読むことができた。 生い立ちから横浜の薄荷問屋での奉公時代、桂小南への弟子入り、後の師匠である五代目左楽、名人円喬、オンナの話、芸の話と盛りだくさんで読み応えがあった。正岡容による聞き書き …

本>ガダラの豚

『ガダラの豚』(中島らも 集英社文庫)。 なんとなく読みそびれていた。『今夜すべてのバーで』で、この人の小説家としての力量にたまげたものだけれど、この本では小説家以前に、もの書きとしての圧倒的な力とか、構成力、世界や人間への認識の深さのようなものにひったまげた。こんなもの書き、最近あまり見たことない。 この文庫版は …

本>寄席はるあき

『寄席はるあき』(安藤鶴夫著 河出文庫 2006)。68年に刊行されたものが、今年になって文庫化。やっぱ、落語ブームとやらはほんとの話らしい。 安藤鶴夫は直木賞作家だということだけど、子供の頃からバアヤに負われて寄席に通った寄席マニアであり、斯界のご意見番のようなものでもあったらしい。なんとか先生がほめてくだすった、 …

本>岩城宏之「森のうた」「フィルハーモニーの風景」

なんか岩城さんづいちゃったようで、2冊読んだ。この人は文章も天才的だという話は聞いていたけれど、これまで読んでなかった。 「森のうた」は、芸大時代の山本直純との、はちゃめちゃ青春記。戦後さほどたっていない時代、芸大の木造校舎を舞台に、指揮棒を振りたくてたまらない作曲科のナオズミと打楽器科のイワキが、学生たちをだまくら …

黒鉄ヒロシを読む

黒鉄ヒロシの『赤兵衛』と『清水の次郎長(上/下)』を読む。このヒトの洞察力の深さというのは、志ん生とか芥川なみなので、次郎長は重たくて仕方ない。赤兵衛とセットで読まないと、どうにかなる。幕末の暗殺ものは、もっと暗くて重いらしいが、別に読まなくてもいいか。 黒鉄ヒロシについては、また平熱の時にでも。 一言だけいってお …

本>マネー・ボール

『マネー・ボール』(マイケル・ルイス著/ランダムハウス講談社) オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンのお話である。ひさしぶりにわくわくする面白い本に出会った。 戦績的には名門といえるチームでありながら、なぜか人気の方はぱっとせず、オーナーも野球をビジネスと割り切る筋金入りの渋ちんである …

本>ホーンブロワーその後

フォレスターの『ホーンブロワー』、あれから一気に順を追って5巻まで読んだ。『海軍士官候補生(1)』『スペイン要塞を撃滅せよ(2)』『砲艦ホットスパー(3)』『トルコ沖の砲煙(4)』『パナマの死闘(5)』という流れ。 全10巻なのだけど、フォレスターが最初に書いたのが5巻、6巻、7巻で、これが好評だったので若い頃の話や …