70hzのピーク
ふと思いついて、季刊「ステレオサウンド」155号・156号(2005年)をひっくり返してみた。この2号は、「試聴&測定で探る現代スピーカーの魅力」と題して、合計35機種のスピーカーの周波数特性やインピーダンス特性の実測データを掲載している。同誌としては25年ぶりの測定だったということだ。
価格帯は、265200円から679万円。一応、なんとかなりそうな(?)50万円以下のものは5機種だけだから、私が読んで購入の参考になるような記事ではない。
で、周波数特性のカーブを中心に、さくさくページを眺めていって「おお?」であった。「ひえー」でも、「どひゃー」でも、岡本太郎風に両手を上げて「なんだこれは」でもいいのだけど、いくつかの例外をのぞいて、これら現代の高級~超高級スピーカーの低域特性はそっくりなのである。
●65hz~75hzに4db~8dbほどの大きなピークがある。
●そのピークから低域はだら下がりになる。
●多くの機種で50hzは100hzより2~6dbダウン。
●したがって40hzは、さらにダウン。
●したがって30hzは、もっとダウン。
●個性といえば、ピークからのだら下がりの度合いくらい。
長岡師も晩年、わざわざダブルウーファーにしたりして、50h近辺に大きなピークのあるスピーカーを、たて続けに作っていたことがあったけれど、そういうことだったのだろうか。
世界中から集めた数百万円もする超高級機が、フラットな特性を目指さずに、あえて70hz近辺に大きなピークを作り、そこから(自作派からすれば)、投げやりな(笑)だら下がり特性に甘んじているというのは、メーカーの流儀として昔からこうだったのか、音を追い込んでいったら自然にこうなったのか、よくわからないけれど、ひとつの「時代の音」ということだけは確かだろうと思う。
ちなみに、70hzピークの例外は、KEFのKHT9000ACE、オーディオ・フィジックのBrilon2、クオードのESL988、YGアコースティクスのAnat Referrence Main Module、ジャーマン・フィジクスのThe CarboⅡの5機種。あと、どっちつかずのものが2機種あった。
スピーカー設計の大もとは、低域の量と質をどうするかなのだから、これでいいのであれば楽なものである。どう考えてもウーファーは20cmもあればこと足りる。でも、ほんとにこれでいいのだろうか。測定条件がちがうので横並びにはできないだろうけど、もしこれが長岡作品で、この物量を投入してこのスペアナ写真だったら、誰も作らないだろうなと思うのだが。