スーパースワンの作り方(3)
引き続き、Joe’s(ジョー)さんのためのスーパースワン情報。たぶん、これが最終回になると思います。
●組み立て方
長岡スピーカーは、ほぼ必ず、図面に組み立て順が記載してありますので、これに従ってください。順番を間違うと、途中で組み立てられなくなるものもあります。
カット済材が届いたら、組み立てを始める前に各パーツに図面に記載してある部材ナンバーを鉛筆などで書いておきます。合板には裏表がありますので、裏面(木目があまりきれいでない方)にナンバーを書いておくといいでしょう。MAKIZOUさんだと、あらかじめナンバーを打ってあるそうです。
次に、各木口に軽くサンドペーパー(#240~#400くらい)をかけておきます。これは組み立てながらやってもいいです。
そして、粛々と組み立てを始めます(笑)。今、記憶をたどると、あまりむずかしいポイントはなかったと思いますが、音道が複雑なので、ここは図面をよく見てやってください。音道の最終過程で蓋をする時に、部材の精度が出ていないと凸凹になってしまうのですが、まあ、スキルのあるところにカットを依頼すれば、ほぼ大丈夫でしょう。
組み立ては、左右1セットずつやります。つまり、片方だけ先に完成させて、次に片方に取りかかるのではなくて、ネックならネックを2つずつ作っていきます。これをやると、互いに組み合わせた状態で一緒にオモシを載せたりできますので。
部材の接合は、木工ボンドと釘を使うわけですが、まずボンドであらかた固めておいて、その上で釘でシメるという感じになります。とにかく水平・垂直を出していくのが大事なのですが、木工ボンドだと微調整しながら進めることができます。はみだした木工ボンドは、濡れタオルなどその都度丁寧に拭き取っておきます。
木工ボンドは、アメリカ製のタイトボンドがおすすめです。これは日本製とちがって、硬化後にカチカチに固まります。ただ、ちょっと硬化が速いので作業は手早くやりましょう。濃すぎる場合は水で少し薄めてもいいです。
木工ボンドを塗った後に、本や鉄アレイなどを利用して、オモシをかけるのですが、これは少しずつ重くしていくといいです。クランプやハタガネをたくさん用意できるなら、その方がいいのですが、あまり長寸の部材はないので、なくてもなんとかなります。釘は、合い釘が確実ですし、作業効率もよく、見栄えもそこそこ。化粧板やネックなど外から見える部分は、真鍮釘を使うと見栄えが良くなりますが、これはお好みで。
●ターミナル・結線・吸音材
ターミナルは、なるべく径の大きなスピーカーケーブルを使える、しっかりしたものを選びます。私は、コイズミ無線のT-100Sだったと思います。内部配線は、スーパースワンの場合、非常に短いので簡単です。スピーカーとの結線は、直づけでもいいですし、ファストン端子を使ってもいいですが、長岡さんによると音的には直づけの方がいいということです。吸音材は、フェルト吸音材を指定の位置に。
●仕上げ・塗装
組み上がったら、全体に軽くサンドペーパーをかけます。番手は#240~#400くらいかな。とにかくガサガサしたところが残らないようにすればいいです。指定ではヘッドの各辺を、丸くラウンド仕上げにするようになっていたと思いますが、これは見栄えの問題だけですので、そのままでもかまいません。
塗装は、どうやってもいいので、ご自由に。木目を生かして格好よくやろうと思えば、オイルステインを雑巾などで染みこませた後に、クリアを塗るのがいいのですが、この場合、木工ボンドの拭き取りが甘いと、だんだら模様になります。
一番手軽なのは、素地の上に、水性ウレタン(クリア)を塗る方法です。これだとボンドの拭き取りむらがあっても目立ちませんし、水性ですから屋内でも作業できます。少し薄めにした塗料を塗り、完全に乾いたらサンドぺーパーをかけ、その上に重ね塗り、という感じで3回~4回ほど塗ればいいでしょう。繰り返すごとに塗りやすくなっていきます。
もっと手軽なのは、マットブラックに塗ってしまう方法です。シアターで使うには、スピーカーが目立たない方がいいので、けっこう黒スワンも多いかもしれません。でも、これはほかの色への塗り直しはむずかしいかも。
●スピーカーケーブル
オーディオ用スピーカーケーブルは、百花繚乱、百鬼夜行、各社から多種多様のものが出ています。コストパフォーマンスが高いとされているものでも、2000円/mくらいするのですが、長岡さんはこれでも高いとして、強電用のキャブタイヤケーブルを使っていました。DIYのお店で切り売りで売っていると思います。直径は3.5スケアが標準でしょうか。これだと300円/mくらいです。なるべく被覆の硬いケーブルの方がいいそうです。
●熟成
作ったばかりのスワンに、新品のユニットをつけて音だしをしてみます。たいていは、あまりのひどい音に落胆、憂慮の嵐になりますが、心配はいりません。たぶん、低音は出ない、高音はキーキーいう、箱はボーボー、コーコーと鳴る状態のはずです。
これは二つの方法で解決します。一つはとにかく音楽をかけてユニットを慣らすこと。これは30分、1時間、3時間と経つごとに、目に見えて良くなっていきます。エッジがこなれて、周波数帯域は上下ともにどんどん伸びて、透明感が出てきます。まあ、最低数十時間は鳴らしてください。
もうひとつの解決方法は、時間です。複雑な構造の箱ですので、組み立ての際に部材は反りを無理やり押さえ込まれ、全体に大きなストレスを受けています。箱を放置しておくだけで、だんだんストレスが緩和されて、それが音に現れてきます。具体的には、ボーボー、コーコーいう箱鳴りが減ってきます。また、木工ボンドや塗料の水分が完全に乾くのにも、それなりの時間がかかります。
スーパースワンは最低3か月、まあ普通は6か月くらいで本来の力を発揮し始めます。そしてある日、おや、と目を見はるような音が鳴っていることに気づきます。こうやって音の変化を楽しみながら育てていくのも、バックロードホーンの楽しみのひとつですので。