もともと、「昔オーディオ」に発熱してしまったのは、ちょうど1年前に入手した、「NHK全国学校音楽コンクールの歴史<昭和43年~昭和48年度・小学校合唱の部>」というレコードを、デジタルデータに取り込み、そいつを当時の友だちに聴かせてやったら喜ぶだろうなあ、という夢想がきっかけだった。

第一、自分でも聴きたい。小学生の一時期、ほぼ毎日聴いていた大磯小学校の「石ころの歌」が入っている。ぼくにとっては、夢のような幻のような音源だったのだ。

となると、まずはターンテーブルを買わないといけないな、カートリッジもどげんかせんといかん、そうなるとフォノイコライザーかプリアンプがいるぞ、という具合に、最低限の装置を追っているうちに、だんだんと手段が目的化するという、いわゆる趣味化の領域に踏み込んできたのだった。まあ、趣味としては可愛いものではある。

そうした、最低限の装置のうちに、オーディオプロセッサーというものがあった。これはつまり、アナログ音源をデジタル化する際のインターフェースで、これがないとデジタル化はできないのだ。

昔はこんなもの、プロの機械であったにちがいないのだが、この頃はUSBにつなげば、ほとんど設定なしに使える、USBデジタルオーディオプロセッサーが、ONKYOから出ている。それらはなかなか秀逸であり、かつ比較的安価であるという噂は、あっという間にぼくの耳にも入ってきた。

そうなると、こちらの行動も素早い。すでに現物が、わが家にあるのである。今朝、宅急便でチューナーとは別便28号ながら、同着で届いたのだ。しかも、このオーディオプロセッサーは、単に録音に使えるというだけではなくて、デジタルデータのアナログ化の過程で生じる、ジッターなどの雑音を排除することで、PCによる音楽再生の音質を飛躍的に向上させてくれるらしい。出来のいいDACとしても機能するのだ。

わが家に来たのは、ONKYO のSE-U55SXというもの。これの弟分に、SE-U33シリーズがあり、こちらは安い上にフォノイコライザーまでついており、ぼくの当初の用途にはまさに最適だったのだが、音質を求めればプリアンプの方が良いことと、SE-U55SXはサウンドボードの銘器SE-200PCIをめざしたという志の高さを評価した。

さっそく接続して、音を聴いてみた。接続といっても、ACアダプターとUSBケーブルをつなぐだけで、なんのことはない。

試聴。音源は、CDのレファレンスにしているアート・ペッパーの「ミーツ・ザ・リズムセクション」。まあ、本来、PCで聴いてどうなるものでもないのだけど…。

しかしですな。これが聴けるのですよ。一言でいうと、澄みわたった音に変貌した感じ。うちのPCスピーカーは、ALTECの2000円くらいの超安物で、もともと中域に力はあるけれど、全体に歪みっぽい音がして、音量を上げるごとに音質がどんどん劣化して聞こえるというものだった。

それが、音量を上げても聴ける。これまで、スピーカーのキャラクターと思っていたものが、実は再生時に生じていた歪みであって、それがとれてしまえば、実に美しい音になることがわかった。2000円のスピーカーが、20000円になったくらいの感じ。ということは、20000円のスピーカーに交換すれば………、などと、またよからぬ考えが頭をもたげてきた。

PCで音楽を聴く機会が多くて、アナログ音源をデジタルで残したいなんてことを考えている人には、文句なくおすすめ。ヘッドフォン再生も試してみたところ、そこそこ聴ける。PC再生の音質改善だけでいいなら、もちろんSE-200PCI 。こちらの方が、少し安いのでコストパフォーマンスは高い。