映画>沈黙の艦隊

『沈黙の艦隊』(高橋良輔監督/1995)。
かわぐちかいじが描いたコミックが原作。これ、読んでいないのだけど、全32巻を1本のアニメ作品にして、なおこれだけ密度を保つというのは、原作が相当、骨の太いものなんだろうということをうかがわせる。
それが問いかけるものは、国家防衛、憲法9条、日米安保、国にとっての正義、そもそも国ってなんなのだといったところ。いずれも、似たようなテーマを扱った『ローレライ』や『亡国のイージス』のように安ものではない。まあ、この二作品がひどすぎたのだけど。
好感を持てるのは、こうした大きなテーマと個人の感情を対比させて描くような、ありがちでせこい了見が一切ないこと。国と家族を捨てて、日本初の原潜の乗組員になった100人を越す連中の感情というものは、一切描かれない。
それどころか、原潜を乗っ取って、米第7艦隊を手玉にとりながら、艦として独立宣言をしてしまう主人公・海江田二海佐の個人的な事情、感情といったものもまったく描かれない。これは、かなり特異なドラマではないかと思う。ぼくとしては、そこが気持ちよかった。女や子供もまったく出てこない。この割り切りはすごい。ホームドラマではないのだから、これでいいのだ。
同年に続編も出ているらしいので、こちらも観る予定。
ちなみに、作中、モーツアルトの40番を大音響で流して他の潜水艦に感知させるシーンがあるのだけど、原作では41番「ジュピター」だった由。どっちでもいいけど、ジュピターでは、あんまり脳天気ではないかなあ。水中音の伝わりやすさからいえば、ジュピターだろうけど。
原作読んでます。
一級のコミックです。
潜水艦同士の戦い方なんて全く知識がないわけですが、読み進むうちになんとなく解ってきます。説明はしないでストーリーで理解させていくというやりかたです。映画ではどうやってるんでしょう?
長編ですから途中で中だるみが無いとは言えないけど、コミックとかテキストとかそういう区切りは無いんだよ、と認識した作品ではありました。
原作、読んでらっしゃるのなら、映画は超ダイジェスト版だなあという感想をお持ちになるかもしれませんね。ぼくは初めてでしたけど、楽しめました。
戦闘シーンではあんまり細かな、状況説明とか技術的な解説はなくて、どんどん先に進む感じでした。だもので、手に汗握る感じは、この題材にしては少ないのですけど、変にドラマチックに盛り上げることをしないのが、むしろ気持ちいいくらいでした。