年末は高音質CDなのだ
10年ほど前、スピーカー作りに凝っていた頃、SHEFFIELD/XLOのTEST&BURN-IN CDというものを持っていた。これは何かつーと、いわゆるオーディオマニア向けのテストCDであって、スピーカーユニットを数十時間でエージングしてしまうバーンイントーンとか、ホワイトノイズとかが入っている。
バーンイントーンというは、つまり20HZ~20KHZくらいの範囲でまんべんなく音を出して、ユニットを片寄りなくなじませるというもので、この効果は絶大だったのだ。
あれから引っ越しやらいろいろあって、そのCDは手元にないのだけれど、高音質録音で知られるシェフィールド・ラボの製品らしく、おまけの音源がいくつか入っていて、その中の2曲が今でも耳から離れない。
ひとつは、Michael Ruffの『Poor Boy』という曲。いわゆるAORというジャンルに属するやつで、どちらかというと苦手な分野なのだが、ポップスでこんなに録音のいい音源があったかとちょっとした衝撃だった。
音場は澄みわたり、ベースは深々として透明感すらたたえ、ボーカルは針で突いたようなピンポイントに定位する。ほんとにおおげさでなく、ポップスの可能性を拡げるような録音だと思った。これは93年のSpeaking in Melodies というアルバムに入っているのだが、とっくに廃盤になっていた。
もうひとつは、Lincoln Mayorga とモスクワフィルの歴史的なセッションから生まれた『Summertime』。これには、ほんとにひっくり返った。オーケストラを録るマイク位置のままで、Mayorgaがピアノを弾き、モスクワフィルのホルン奏者がソロをとる。ベルリンの壁がぶっ壊れて何が生まれたかというと、つまりこのセッションが生まれたのだ。モスクワフィルがジャズをやる時代になったのだ。こいつら、なんでこんなにうまくジャズをやれるのだ。好きだったのだ、聴いていたのだな。すごいな。すごいな。と。
これは、Mayorgaのガーシュイン集であるA Gershwin Celebration に入っていることがわかったのだが、やはり廃盤。
ちょっと短いのだけど、試聴してみましょうか。
年の瀬は、なぜか高音質なCDがほしくなる。フレーバーコーヒーが飲みたくなったり、ちょっと贅沢なパイプ煙草がほしくなったりするのと似たようなものなのだろうか。
師走でごわす。