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『姿三四郎』(黒澤明監督/1943)。公開前に検閲によって1800フィートも削除されてしまい、戦後も修復がかなわなかったため、永遠の不完全版となってしまった。黒澤監督23歳のデビュー作。
娯楽作品を本気で作るのも大変な時代だったろうし、そもそも不完全版なのだから、ずいぶん割り引いて観ることになる。いろいろ、黒澤らしさの萌芽のようなものを観ようと思えば観ることができるのだろうけど、それはまあ詳しい人に譲るとして。
主演の藤田進は、おかしくなるくらい勝野洋に似ていた。人物の描き方、掘り下げ方は、こないだの全編にわたって美空ひばりの歌が鳴り響く竹脇無我版『姿三四郎』(1970)の方がずっとよくて、桧垣源之助の憎たらしさなどもこちらの方がはるかによろしい。ただ、村井半助の志村喬が出てくると、途端に画面が盛り上がってくる。この人の味わいは何にたとえたらいいのか。