映画>大砂塵

『大砂塵』(ニコラス・レイ監督/1954)。中学三年の頃、友達から西部劇の主題歌を集めたLPレコードをもらって、けっこう気に入って聴いていた。今でもクローゼットのどこかにあると思うけれど、レコードプレーヤーがない。
そのレコードに「ジャニー・ギター」が入っており、この曲が『大砂塵』という映画の主題歌であることを知ったのだけど、映画を観るのは初めてだった。
冒頭、ものすごい砂嵐が吹く酒場に流れ者がやってくるシーンから始まる。おやおや、これ、黒澤明の『用心棒』ではないですか。ありえないような強い砂嵐を見せることで、何か変だぞ、これから何か始まるぞということを暗示しているわけですね。その『用心棒』は1961年製作なので、黒澤は参考にしたのか、関係ないのか。どちらでもいいけど。
この流れ者、名はジョニー・ギター。馬に乗って背中にギターをしょっている、小林旭のご先祖様だ。酒場の女経営者ヴィエンナをめぐってライバルになる男は、ダンシング・キッド。こりゃ、サンダンス・キッドのご親戚だろうか。
とにかく、この登場人物の名前からして、日活アクションもびっくりであって、気楽な娯楽映画なのだろうと思っていたのだが、さにあらず。娯楽は娯楽でも、とてもよくできた娯楽映画なのだった。
その立役者は、性悪女エマ役のマーセデス・マッケンブリッジという女優。もうとても憎たらしくて、最後の女同士の決闘シーンで、ヴィエンナ(ジョーン・クロフォード)に撃たれるシーンは、一級のカタルシスだった。主人公のジョニーも敵役のサンダンス・キッドも、この二人の女性にまるっきり食われてしまっていたな。