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『ステルス』(ロブ・コーエン監督/2005)。
前回、『わが谷は緑なりき』を観たことで、ぼくの中の何かのスイッチが入った。レンタル店の「名作ドラマコーナー」の前をうろうろするなどということは、少なくとも去年まではなかったことだ。好き嫌い以前に、興味の対象外だった。知らなかったことを知ることで、興味が湧いて知恵が深まった。蒙が啓いた。アルジャーノンか。
とはいえ、いくらなんでもそう毎日名作・古典を観ていては、わが映画生活というものが先細ってしまうオソレもあり、ちょっと軽いものでもと新作コーナーに行ったら、これが1本だけ残っていた。噂も評判も聞いてなかったけど、とりあえず観る。
人工頭脳を搭載した最新鋭ステルス、つまり無人戦闘機が第一線に配備され、その最初の任務で…。と聞くと、ははあ、まさか『2001年宇宙の旅』みたいに、そいつが感情を持って人間のコントロールがきかなくなり、世界を破滅に導こうとするのではあるまいな。と思うだろうが、寸分たがわず、その通りである。人の会話を盗み聞きするところまで、いただきである。
だから面白くないかというと、はっきりいって面白い。観終わった後、「ああ、面白かった」と、にこにこするくらいには、十分面白い。これでもかというほど、各所に映画としてのサービス精神があふれていて、特にカメラアングルやCGの部分で、面白くなりそうなところは一瞬も無駄にせずに面白くしようとする。確かにプロの仕事であって、このくらいの画をみせてくれればとりあえず文句はない。突っ込みどころも多いのだが、それを不粋と思わせれば制作側の勝利だ。
『わが谷は緑なりき』で、ずっとうるうるしていた心が、だいぶほぐれた。
人間、美と真実だけでは生きられない。