映画>たそがれ清兵衛

図らずも今夜は真田広之豪華二本立てになってしまった。たそがれが真田であったことは知っていたけれど、イージスが真田であることは知らなかったので、まったく偶然。そういえば数日前は、『麻雀放浪記』で20年前の真田を観た。

どうもいい役者で困る。映画としても、前半は小津安二郎のごとく「大したことは起こりそうもない感」の中で、淡々と、しかし相当強い画面力をもって話が進んでいく。そして後半になると、『用心棒』的活劇になる。さらに宮沢りえを相手にしたラブロマンスまである。そしてどのシーンも面白い。アプローチがくどくないから、何度でも観られるものになるのだろう。

圧巻は、田中泯の剣豪を斬る藩命を受諾する時に、それまでの愚直で謙虚な男が開き直ったようなふてくされたような表情をみせた瞬間だった。昔の谷岡ヤスジでは、ごく平凡な男が何かの理由で追い詰められたりキレたりした時に、目が点になったけれど、あんな感じ。

その後、「目が点」などというギャグが流行ったが、点目というのはそんなに甘いものではない。ひとたび男が点目になると、次の瞬間、目の前にいる者の頭には(それが誰であったにしても)コーモリガサが突き刺さっていなくてはならない。殺気を帯びた究極の無表情が点目なのだ。真田にそれを見た。谷岡ヤスジの実写を初めて観たともいえる。

最後の決闘シーン。斬られて死にかけた田中泯の「まあ、掛けろ」にはしびれました。