映画>オペラ座の怪人

『オペラ座の怪人』(ジョエル・シュマッハー監督/2004)。豪華絢爛、細かなディテール、あふれる才気、ゆるぎなき構成、美しい映像、その他あれもあり、これもあり。才能のかたまりみたいな人たちが寄ってたかって作ったような映画。脚本のアンドリュー・ロイド・ウェバーは作曲、プロデュースも手がけている。
クリスティーヌ役のエミー・ロッサムは、7歳の時からオペラの舞台に立ったというけれど、歌のうまさはもちろん演技も天才的。二人の男の間でゆれ動く女心というものを、なんで18歳くらいでやれるのかと思うけれど、結局ライバル関係となった怪人と子爵の両方を一回ずつ泣かせてしまう。あれなら、ぼくでも泣く。
甘いテノールのラウル子爵、ちょっと荒削りでロックっぽい声のファントム。この二人の声質そのものが、対照的な役の性格を映しているわけだけれど、よくこんな役者を見つけてくるもんだと思う。
冒頭、「ハンニバル」のシーンで舞台衣装の赤が鮮烈。父親の墓所のシーンの青も深い。19世紀中頃のオペラ座の木質の茶色、地下室の薄暗さ、バラの紅。印象に残る色彩の多い映画だった。ちと、あれこれとテンコ盛りにしすぎではないかと思われるほど、場面ごとにこだわり、計算した画面が、物語をぐいぐい引っ張っていく。
音声設計は意外なほど地味というか、まともというか、抑制が効いていて、不必要な効果音や人を後ろから脅かすような音は少ない。ぼくはこういうのが嫌いで、それだけで興ざめしてしまう。後ろから「わっ」なんて子供ではないのだから。
音質もいいのだが、ちょっと超低音部分がもの足りない感じはあった。スーパースワンでも50hzくらいは十分なレベルで出るはずなので、この画質の良さで風が吹いてくるような超低音を聴いてみたかったな。でも、まあ、主役級の三人とも声よし歌よしで、音楽的にも十分に楽しめた。