ビジネス本を読むこと
もともと、あまり本を読まない。仮に13歳から読み始めるとして年に50冊のペースなら、とうに1500冊に達しているはずなのだけど、とてもそんなには読んでいない。
振り返るに、10代の頃はよく読んでいた。それもエンターテインメントなんか読む時間がもったいないと考えるような、非常に了見のセマイ読書であったため、SFを読み始めたのは18になってから。ミステリーは、ほとんど何にも読んでいない。ここ10年ほど、海洋冒険小説を好んで読んでいるけど、20代くらいまではそれすらも守備範囲でなかった。
一番苦手なのはビジネス書で、中でも自己啓発本というやつだった。何につけ、モノゴトになじめない子というのは本質的になじめない資質というか、ものの考え方をもっているもので、たとえば数学の苦手な子は、公式ひとつ覚えるのでも、いちいちその意味を考えてしまったりして素直に受け入れることができない。
自己啓発本が苦手なタイプは、おおむね二通りあって、「こんな世間を上手に渡るようなことばかり考えているようなのはなんだか恥ずかしいことだ」という薩摩武士のようなタイプと、「それはあなたはその方法でうまくいったかもしれないけれど、ぼくはあなたではないし、あなたのように考え、ふるまったところで環境も何もちがうんだから同じ結果が出る方がおかしいんじゃないか。人間というのはもっと本質的な価値が大事なんじゃないか」という専守防衛タイプがある。読みもしないうちから、「読まないぞ」と心に刻んでしまうわけである。
ぼくもそういう人たちと同様に、ビジネス書というものをまったく読まずに過ごしてきたのだけど、ここ5年くらい、たまに読んでいる。というか、オクサンがロバート・キヨサキだのベンジャミン・フランクリンだのを買ってきて楽しそうに読んでいるので、読むものがない時など、つい寝床に引っ張り込んでしまう。ろくに読書はしてこなかったけれど、活字中毒ではあるので、寝床に入って活字がないと禁断症状が出るのだ。
で、ここ5年くらい、時々読むようになった。これは、つまり他人の書いた成功への道しるべのようなものを、ふんふんと受け入れることができるようになったということで、それだけでニンゲンとして大進歩ではあると思う。それに、あらかた、そんなに悪いことは書いていない。
今、ゴーマンな親父となったワタシは、自分が18歳だった頃のことも顧みず、18歳のムスメに『夢をかなえるゾウ』をアマゾンから送ってやろうとしている。まあ、爆笑本ではあるので、笑って読んでくれればそれでいいのだけど。
『夢をかなえるゾウ』を読んでいて、ひとつガクゼンとしたのは、この本の核心のひとつともいえる重要なメッセージであるところの、「やってこないで後悔していることをやりなさい」だった。つまり、それが何にも思いつかなかったのだ。