雨月物語

『雨月物語』(溝口健二監督/1953)。

去年の今頃から録画してあった作品。ベネチアで銀獅子賞を受けたりして、大変な名作であるという人が多いので、こりゃ観なくちゃと思っていたのだが、今まで二度観ようとして二度とも挫折していた(^^;)。昼間、テレビで観ようとしたのがいけなかったらしい。今度は部屋を暗くしてプロジェクターでちゃんと観ようとしたのだが、またもや挫折しそうになった。

時は戦国時代、琵琶湖北岸のある村のお話。江戸時代の読本「雨月物語」のうち、「蛇性の婬」「浅茅が宿」をもとに、川口松太郎が脚本を書き、カメラは宮川一夫。京マチ子に森雅之という『羅生門』コンビが主演というわけで、すごい映画でないわけはない。たしかに凄い映画だったとは思う。

だが、しかし。どうしたものか前半の1時間、なかなか映画に入っていけない。貧乏暮らしに嫌気がさして、商売と出世に奔走する兄弟の、いらいらするような気ぜわしさ、その破局に向かっていく愚かさが、日頃、気ぜわしくオロカに生きている者にとっては、洒落にならないということもある。

画面が走り始めた時、てっきり戦前の映画だろうと思いこんでいたのだが、昭和28年の作だった。そのくらい映画としては大時代な感じを受けた。これ、戦後、映画に夢と希望を求めて観ていた普通の映画ファンたちは、どう受け止めたのだろうか。案外、米仏の大作、コメディ、ラブロマンスのついでに、こういう文芸作品もさくさく観たのかもしれないけど、そのことだけでも、昔の映画というものの懐の深さを感じてしまう。

この映画を、今の時代に初めて観て、その凄さに感じ入ることができる人も、これまた凄いもんだと思う。ぼくには無理だった。どうにか宿題をこなしたという感じ。それなりに感じるものはあったけれど。