雷の日々
わが家はここんとこ、三日ほど続けて雷雨である。始めの二日は夜に猛烈な雷雨となり、至近距離に雷が落ちるとどういう音がするものであるのか、ひさしぶりに思い出した。
さたーーーー!
というのである。
ごろごろ。どんどん。という中・遠距離安全型の音響に混じって、何度か、さたーーー!という音がして、あたりは昼間のように明るくなり、雨は盛大に降りまくり、外はえらい騒ぎだなと思いつつ、ソファに寝ころがって海洋小説を読んでいたら、末の娘が目に涙を浮かべて二階に上がってきた。
わが家は、オクサンと子供が一階に住み、ワタシは二階に住んでいる。猫が二匹いるのだが、ワタシになついている方は一緒に二階に住み、あまりなつかない方は一階にいる。同じ三毛猫なのに、なぜか棲み分け、主人も峻別する。不思議なのだが雷の話だった。
「どうしたの」
「雷が...」
「お母さんは」
「いないの。お姉ちゃんも」
末の娘が一階に一人でいて雷におびえているというのは、どんな父親でもフビンであろう。ぼくもフビンだったので、オクサンの名を呼ばわりながら一階に下りていったのだが、見当たらない。もしや、洗濯物でも取り込もうとしてベランダに出て、感電しているではないかとふたたび二階へ上がってみるのだが、いない。
もう一度一階に下りてみたら、次女と二人で風呂場にいた。電気を消してまっくらになった風呂場で二人とも湯に浸かり、窓を開けて外を見ている。雨は窓からざんざん降り込んでくるのだが、そんなことでは動じない。
「何してるの」
「雷の鑑賞」
「お前なあ」
「ずっと向こうまで明るくなってすごいのよ」
わが家の裏は、宮崎市内でも珍しくなった小さな田んぼがあり、けっこう向こうまで見渡せるのだが、そこを雷が照らし、さたー!、さたー!と大音響が炸裂する。長岡鉄男もびっくりの、猛烈なハイスピードサウンド。しかもサラウンドである。映像はフルスペックハイビジョンもはだしで逃げ出すスケールと鮮度であるからして、これはたしかにすごい見ものなのであった。
今日は正午頃、めちゃくちゃな雷雨となり、宮崎空港では滑走路に落雷して穴があき、しばらく閉鎖になっていた由。あんな平らなところに落雷するのだから、うっかり外には出られないよなあ。とかいいつつ、今日も海洋小説を読んでいるのだった。
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