2008年4月22日

映画>しゃべれども しゃべれども

『しゃべれども しゃべれども』(平山秀幸監督/2007)。

去年、宮崎キネマ館の前まで来て、観ようかなと思いつつ観そびれていた映画。落語ブームが生んだ、ひとつの果実(少し渋みと酸味のある)といっていい作品と思う。

さえない二つ目さんである今昔亭三つ葉(国分太一)は、師匠・今昔亭小三文(伊東四朗)にほれこんで古典ひとすじ。なのだけど、芸がしょぼくてウケない。師匠からは、「お前、どうすんだよ...あんなんで」などといわれてしまう。

その三つ葉が、ひょんなことから話し方教室の先生として、三人の弟子を引き受けてしまう。美形だけれど、無愛想で口のきき方がわからない女の子、口は達者だけど勝ち気のためにクラスで浮いている小学生、実況中ほとんど舌がまわらなくなるプロ野球の解説者...。こんな人たちに落語を教えようとするわけだが...。というような内容。

冒頭とエンディングが、ちと甘いのが惜しいのだけど、独特の空気感があって、つまり、あの映画の世界にもう一度戻ってみたいなと思わせる雰囲気を備えているために、人に繰り返し観たいと思わせてしまう何かがあって、それがゆえに、この映画は、まずまず成功しているといえるのだろうと思う。

それにしても、冒頭、国分太一が香里奈に出会うシーンは、もう少しどうにかならなかったのかにい。自分の師匠が講師をやっている話し方教室に生徒として来ているのであれば、大事なお客であるわけで、その客に二つ目があんな口をきいては不自然でしょうに。最初は敬語を使って、徐々に激していくくらいのリアリズムがないと、ちょっと物語の入り口で腰が引けてしまいます。ここんとこだけは、すぐに過剰な台詞を言いたがる安いテレビドラマみたいでした。

特筆は、森永悠希という子役のやる、枝雀風の「饅頭こわい」。これは見事。

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コメント

JUNさん

僕も劇場で観ました。
あの子役の子は見事でしたね!国分太一よりも上手かった(^_^;)
落語のシーンもそうですが、枝雀のビデオを観てグイグイ惹きつけられていくシーンなども良かったです。
また、伊東四朗の貫禄は流石ですね。下町の匂いの中に、見事に溶け込んでいた感じが良かったです。

なんだか独特なんだけど、どこかで見たような景色だなあと思っていました。どうも「かもめ食堂」のような気がします。シチュエーションも何も全然ちがうのですけど、時代の空気というものなのかな。

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