2008年3月27日

最近のお気に入り

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あの、あれですね。人生というものは、石けんの銘柄から職業や伴侶にいたるまで、どっちにしようかなとか、ほんとにこれでいいのかなとかいう、取捨選択の積み重ねでできているわけでありまして、その人の周りにあるものというのは、きっとその人の人生を構成するパーツであるといっていいと思うわけです。もっというと、その人そのものといえるのかもしれない。

ひるがえってわが身のことを考えてみますに、なんじゃかんじゃ、なんじゃかんじゃと、膨大なモノに囲まれて生きているわけです。今、これを書いているキーボードの半径40cm圏内にあるものを挙げてみましょうか。

マウス、マウスパッド、ワイヤレスマウスの電波を飛ばすやつ、WAVIO SE-U55SX、ニコンのCOOLSCAN V ED、BUFFARO のUSB HDD、同じくワイヤレスLANのルーターおよびその子機、ALTEC のPCスピーカー、EPSON PX-G5100 、電解水の入ったスプレーボトル、薬用目薬2種、タグホイヤーの腕時計、天然はっかスプレー、貴命とかいうよくわかんないボトル、ブラウンのシェーバー、カミノモト薬用育毛剤、auのW42CA、AZZARO CHROMEのボトル、ヒョウタンツギの置物、カルチェの名刺入れ、ダンヒルの名刺入れ、レイバンの眼鏡、参蒜精およびそのカプセル、ミルマグLX120錠入り、携帯シェーバー、デパス2錠、キーホルダー3つ.........。

ぎゃあああ、なのであります。これで、まだ3分の1も書いておりません。要するに、とっちらかっているのですね。ぼくのデスクトップは、ほぼ、貝塚といってもいい状況になっているわけです。

あまりの情けなさに、このモノどもひとつひとつがわが人生の一部だという先の見解を、今、ここで速やかに撤回したいのですが、たぶん、それは事実なのでありましょう。少なくとも、ある取捨選択の末にここに貝塚となって堆積しているわけですので、人生とまではいわなくとも人格の一部くらいではあるにちがいないわけです。

こうなると、もう、その事実を直視するほかはありません。そこで、思い立って「最近のお気に入り」というカテゴリを立ててみました。人様からみれば、つまらなかったりしょぼかったりするものでも、なんか妙に気になるとか気に入っているものというものが、常にいくつかあります。

もちろん、オーディオだのカメラだのギターだのといった、一応趣味といえるようなものは、ここには入ってこず、もっとどうでもいいようなものなのですが、そのどうでもいいようなものにも、人生のひとつの本質としての取捨選択は働いているわけで、案外、どうでもよくないのではないかという、バカ特有の思いこみで本日より始めてみたいと思うわけです。

人は、おそらく決心で動くのではありません。決心というのは、成り行きに後からついたハンコみたいなもんだろうと立川談志はいうわけですが、それほど乱暴なものでもない。おそらく人は、日常の中の一瞬一瞬に、何を捨て、何を選ぶかという、反射的な判断によって人生の大半を組み立てているのではないか。そうすると、たまたま店頭で買い物かごに放り込んだ、袋ラーメンひとつにも、なかなかないがしろにできないものが含まれて...、いるはずはございません。ただ、ひとつの、なにがしかの状況証拠ではあるのでしょう。

そんなわけで第一弾は「キムチの壺ラーメン」であります。140円くらい。韓国の人は、鍋にインスタントラーメンの麺をぶちこむのが好きですが、普通の麺では面白くない。やはり、この製品のように、あくまでも太く、煮込んでも腰がくずれたりしない雄々しさがなくてはいけません。

また、このスープが、インスタントのくせにちゃんと韓国の味がします。ここで気づいたのは、いわゆる「チゲ鍋の素」にコチジャンが入っているものは、あれは日本人のイメージの産物であって、韓国のチゲとは遠いものではないかということです。ぼくが韓国各地で食べたチゲには、一部の例外をのぞくとコチジャンは入っておりませんでした。入っていてもごく少量のことで、基本的には、塩と、唐辛子と、イワシの出しだけで味付けをするのが本筋であります。それだけで、あの深い味を出すのが正統というものであるわけです。

このラーメンは、まずスープだけ作っておいて野菜と魚介類を放り込めば、そこらで売っている「チゲ鍋の素」などよりも、はるかに立派なチゲが出来上がります。あらかた具を食べてしまってから麺を入れて仕上げとする。などという贅沢が味わえる、「キムチの壺ラーメン」の実力は、あの懐かしいマダム・ヤンすら凌駕するのではないかと、秘かに考えておるところであります。

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コメント

貝塚・・・ですか。
流石に上手いこと表現されますね。(^^)

確かに身の回りの物の量、組合わせは一人一人オリジナルで独自のものでしょうから、個性と言えばそうなのでしょうね。私も同じく好奇心の塊ですから、小遣いで買える範囲の物は取りあえず買っちゃえ・・みたいなところがありますから、ドンドン膨らんで貝塚・・いや、貝塚は消費されたものの残骸でしょうから、私の場合は手に入れただけで消費されてない小物はたくさんありますから単なる化石でしょうか、それらが増えるいっぽうで嫁の反感は増すばかりです。彼女らは現実的ですから、小さな物でも夢を抱いて手に入れた私たちと違い、いわゆる「ガラクタ」を持ってませんので全て消費し尽くして貝塚など出来ようがありませんが、ガラクタの夢も理解せず、「家計に回せ!」などと意味不明な言葉を発するのは理解できません。

キムチ系の食べ物は、私はどちらかというと日本人が作った日本人の為のキムチ・・・のほうが口にあってて好きかももしれません。本場のキムチを・・・というよりは、日本で根付いた「キムチ味」が好きなのかもしれません。
いずれにしても、こういうインスタント麺は出前一丁、チキンラーメンといった昔ながらのインスタント麺がやっぱりおいしいですね。赤井英和のテレビでも特集してましたが、香港では出前一丁がメチャクチャポピュラーな食材となってて、色々なスープ味のバリエーションがありました。レストランでも出前一丁としてメニューにある店が沢山あるようでした。

て、書いてたら、インスタントラーメン食いたくなってきた・・。(^^)
買いに行ってきます。(^^)

サルモサラーさん

すみません、オクサンの実家に里帰りをしており、先ほど帰ってきました。

モノの時代、モノがあふれる時代、なんていいますけど、モノというのは、他のいろんなモノゴトが投影されたり翻訳されたりした姿なので、しぼりにしぼっていけば、だいぶすっきりもするのでしょうけど、まだしばらくは、そのような方向には向きそうにありません。

ある時、軽ワゴンに犬を二匹のせて、旅に出たきり、帰ってこない先輩がおります。彼は、ワゴンにのって北海道やら東北やら、現地で働きながらついのすみかを探す旅を続けて、1年か2年かそうやって各地を流れ、今、和歌山の海沿いの家を借りて、ネギを作ったりシロアリ駆除のアルバイトをして暮しています。

もともとはデザイナーで、やはり膨大なモノとか仕事とか人間関係とかに囲まれていた人なのですが、今はたぶん、ものすごくそぎ落とされた環境にいるのでしょう。その思いきりの良さに驚きつつも、たぶんぼくは、さらにこの先も、じたばたを続けていくように思います。

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