2007年9月23日

映画>スパルタカス

『スパルタカス』(スタンリー・キューブリック監督/1960)。

紀元前73年のローマ帝国で起こったスパルタクスの反乱を描いた、実に3時間17分という大作。画面が走り始めてすぐに、「OVERTURE」とでっかい文字と主演のカーク・ダグラスの静止画が出てきて、すぐに画面は真っ暗になり、延々と音楽が鳴り始めたので、「第二部」が始まったのかと思った。

そうじゃなくて、OVERTURE とは、さあさ、皆さん、寄っておいで。映画が始まりますから、早く席に着いてくださいね。コーラとポップコーン持ってる人は、足もとに気をつけてね。というような、映画が始まる前の序奏のようなものであるらしい。

しばらくして、ようやく真っ暗な画面にタイトルが浮かび上がり、音楽が鳴り始め、最初のシーンが始まったのは、7分45秒後だった。さすがに大作だけあって、そう簡単には始まらない。

スパルタカスは、トラキア人の剣闘士奴隷。剣闘士の養成所のようなところに売られて、訓練を受けているところへ、ローマから超大物クロッススら数人の貴族が遊びにきて、真剣勝負を強要される。試合の相手が貴族に反抗したことから、その試合で命は助かるが、直後に訓練士を殺害。これが引き金になって数十人の剣闘士奴隷が脱走して、ベスビオ山へ逃げ込む。

奴隷とはいえ、剣闘士であるから腕は立つわけで、追っ手のローマ軍を撃退したりなどしているうちに、これがやがて、イタリア全土の奴隷解放戦争のような様相を帯び、一説には女性や子供、老人も含めて7万人の大所帯にふくれあがったという。

スパルタカスは彼らを生まれ故郷に逃がすために、シシリア人の船を借りてイタリア半島からの脱出を図るが...、という物語。

戦闘シーンなどは、ほんとに数千人が動いており、セットなども豪華。制作費1200万ドルの一大スペクトル史劇を、当時、30歳そこそこのキューブリック監督にまかせるというのも太い話だけど、当人はこの作品を最後まで「自分の作品」とは認めなかった模様。主演のカーク・ダグラスが、自ら(おそらくは命がけで)プロデュースした作品でもあり、いろいろ制約もあったのだろう。

確かに、ストーリーの運びや構造の建て方がそこはちょっと...、と思うところがなきにしもあらずではあるけれど(時々、くさくなる)、映画史上に残る一級の映画であることは間違いなし。3時間17分、紀元前1世紀のイタリア南部を存分に旅してまいりました。

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