ベイフィッシャー27

気になっていた船の整備が済んだと連絡があったので、見に行ってみた。
ヤマハのW-27HFという和船の艇体に、スズキDF90という4サイクル船外機をつけた中古艇である。宮崎市内海港に浮いていたそいつは、陸上で見るよりこじんまりと見えた。それでも27フィートもある。
港を出て加速を始める。最大速度25ノットくらいか。
「UF23とか港にとめてあったけど、このへんではどんな感じですか」
「いい船だけど、和船に比べてしまうと…」
「揺れる?」
「ですね。私も酔う方なので、自分で使う時は和船かサンキャット」
「そうなんだ」
「あと、安くて全長がある船をとなると、やっぱり和船になるし」
「そのわりには乗ってる人、少なくない?」
「全国的に中古の出物が少ないから」
「なるほど」
「この艇体がほしくて、ずっと中古を探してた人がいたんだけど、なかなかなくて」
「ふむ」
「結局、すごい幅広の和船を買って、広くていいんだけど沖に出ると叩く叩く」
「でしょうな」
「でも当人、愛着が湧いたらしくて、最近では気に入ってるみたいです」
「ふむ」
「仲間内では『一反木綿』といってますけどね。いい船です」
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日本のフィッシングボートのカタチとはどんなものか。それに一応の答えを出してくれたのが、ヤマハのタックル(UF23)だったと思う。何しろ空前の大ベストセラーにして、大ロングセラー。23フィートの幅広の艇体に、75馬力~115馬力くらいのエンジンがつき、けっこうな広さのカディがついてコンソールもそこそこ立派、ウォークアラウンドで取り回しも良い。
もともとのお手本は、アメリカのセンターコンソール艇なのかもしれないけれど、あそこまで簡素で頑丈で波切り重視ではなく、似てはいるけど波切りよりは安定性をとり、簡素さよりはキャビンの広さをとり、頑丈さよりは価格の安さをとるという、見事なバランス感覚でトヨタの車のように売れたに売れた。
なのだけれど、「釣り船としては和船優位」という根強い声に、しっかりとした反論ができなかったのも事実だろうと思う。和船は原則、プロの漁師が使う作業船だから、静止安定性を重視した作りになっている。網を上げるにしろ、養殖場などの作業をこなすにしろ、止まっている時に安定していることが重要だ。
重心が低く、舷側に数人が寄っても大きく傾くこともなく、ハルの作り自体もわりあいしっかりしている。それが釣りに効く。釣りをしている時は、普通、アンカーを入れて止まっているか、風や潮流にまかせて流しているかなのだから。
UF23がこんな和船に釣り性能でかなわないのも仕方ないのだが、これは「船を持つ夢」をその格好良さと価格の点で、見事にかなえてくれた船であり、子供を乗せて海に出たい、彼女を乗せて海に出たいなどという話になると、和船などとは比較にならない圧倒的なアドバンテージがあった。
しかも、それまでのボートに比べると、釣り性能もまた圧倒的だった。その後の日本のフィッシングボートは、特に20~25フィート級となると、すべてどこかUF23に似ている。
その中で、最近ヤマハがこっそりと『釣り船の理想』を追った船を作った。釣りやすく、揺れず、風に流されず、デッキは広大で、燃費が良く、価格が安い。2008年秋に発売されたベイフィッシャー25というその船は、まさにヤマハ和船W-25をベースにした、日本のセンターコンソーラーなのだった。こんなに見栄を張らない正直な作りをしているのだから、この船は売れると思う。
本日の結論。ぼくはおそらくこのW-27HFを買おうとすると思う。
なぜって、この船はベイフィッシャー25を性能でも見た目でも上回る、理想の釣り船だからだ。これは、カタログには載っていないベイフィッシャー27だ。白い艇体に映える、家族や仲間の笑顔を見てみたいもんだと思う。