ひさびさに映画

天気は安定しないし波も高めだしということで、この連休も船を出すにいたらず。大体、土曜日の取材を家族のインフルエンザを理由に「早退け」した手前、そうそう遊びにも行っていられない。
初冬の雨の日に家にいて、暗くなってくると映画でも観るしかないのだが、これがまたなかなかスイッチが入らないのですね。最後にここに映画のことを書いたのは9月20日で、その後も何か観たような気がするのだけど、思い出せない。ああ、20世紀少年を映画館に観に行ったのか。あれは、1から3にかけて尻すぼみになっていく映画だった。
とりあえずリハビリに、昨夜は「タカダワタル的」を観た。リアスピーカーのサラウンドがよく効いて、ほんとにライブ会場にいるような、というか、こんなに音のいいライブ会場なんかないんじゃないかと思う。特に、こういう小編成のフォーク系だとスケール感の点でも遜色ない。
この映画は、高田渡を追っかけたドキュメントというよりも、タカダワタル的という名のDVDアルバムといった方がいいくらいのものなのだけど、何度も見かえすことができる質の良さがあって、大当たりだった。
ふんふんと気持ちよく観ていって、ラスト前の「ブラザー軒」でやっぱり大泣きする。そのまんま、エンディングの「私の青空」だものな。あの歌は、もはや高田渡を送る歌になっている気がする。明るく晴れわたった、みんなの鎮魂の歌。おれの葬式でもこれを流すかな。
妙に携帯メールがたくさん届く日で(きわめて重要なメールもあるのだが)、いろいろやりとりをしながら、「幕末太陽傳」を観る。「品川つくりゃ、下司ばったことをいうようだが、食い物がうめえからな」の、居残り佐平次の品川である。冒頭、現代の品川というものが映されるのだが、昭和32年の現代であるからして、今の無味乾燥で冷たい品川とはちがう。
なんとも雑然として、海の匂いがしてきそうないい街だったのだ。フランキー堺の神がかり的な名演。石原裕次郎の大根も、とてもよい。男ぶりがいいのだ。しばらく映画を観ていなかったので、こういう心のふるさとのような映画を観て、勢いをつけようという心理が働いた。人間が単純なので、心理も単純なものだ。
心のふるさとの映画は、ほかにもいくつかあって、「けんかえれじい」「独立愚連隊」「三文役者」「拝啓天皇陛下様」なんてところ。どうも、こういう日本の古いB級映画に名作が多くて困る。あまり人が観ていないから、話のネタにもできない。
追記:無味乾燥で冷たい品川、とはJR品川駅周辺をイメージして書いたのだが、東海道品川宿があったのは現在の京急北品川駅のふきんだったらしい。昭和32年というと赤線廃止の直前であり、品川特飲街もこの翌年に消えた。消えゆく街の姿から、さらにとっくの昔に消えた街の姿をしのぼうという冒頭部なのだった。