タコを釣ること

投げ釣りのゴカイに、時々、タコが釣れるのを不思議に思っていたのだが、今回、何度か船釣りをやってみて、これはフロックでもなんでもなくて、相当に当たり前で、お約束の出来事であることがわかった。
ただし、季節と場所による。季節はちょうど今頃から真夏にかけて、場所はかなりピンポイントのようだ。そこは、門川で一番の大ギスのポイントでもある。つまり、まさに今、タコを釣るにふさわしい時と場所を得ているらしいので、これは一発狙ってみなくてはなんない、ということになった。
前回釣行時に、初参加のヤマガタ氏が、キス釣りの仕掛けそのままで、スナダコを大小5つも釣り、うれしそうにお持ち帰りになったのが発端である。私と流星号さんとあららさんは、タコの恩恵に浴すること甚だ寡なるものがあり、私など前々回からずっとタコはボーズであった。
キス釣りに行ってタコがボーズだからといってくやしいのかというと、これは相当にくやしい。釣り人としてくやしいというよりも、あれを食えないことが非常にくやしい。思いは三者とも同じであったらしく、立ち寄った釣具店で全員タコジグなるものを購入した。
こんなものである。
このようなとぼけたものが、何かの役に立つのかと思われそうなのだが、そこらへんはまったくわれわれにも見当がつかない。釣具には、実用上さほど役に立たないけれど、妙に買いたくなるというものがあって、これもそのタイプの品物特有の匂いがしていた。大体、タコを釣るのに、タコの子供のミニチュアとはなんなのだ。あのたこ焼きの看板みたいな目に、何か意味があるのか。そもそもなんで寄り目なのだ。そこんとこ、どうなんだ。えー、どうなんだ。
と、店員に鋭く迫るつもりであったのだが、こちらも大人であり、向うは女性でもあったので「あの、湾内でボートからタコ釣りたいんですけど、この手の商品で売れ筋ってわかります?」などと、ごく謙虚な態度に出てみると、ベテランらしき店員が出てきて、「これですねえ」といって教えてくれたのが、右の白いやつである。このフジサンケイグループみたいなモノで、タコが釣れるというのが、どうもよくわからないのだが、とにかく買う。ついでに、寄り目ジグも買う。
そんなわけで流星号さんと沖に出てみた。二人とも、頭の中はタコでいっぱいである。船を流しながら、二人の考察と議論は深まっていく。
キス仕掛けにタコが釣れるというのは、あれは光るオモリにアタックしてきたやつが、鈎に掛かっているのではないかと考えたのは流星号さんである。彼は、その考察を具現化すべく、前回、キス天秤のオモリから短い鈎を二本出し、しかもそこにオキアミをつけるという冒険に出た。
いかにも筋の通った論であり、たまたま結果は出なかったものの、かなり有効な手段であると思われる。今回は、キス天秤にオモリの代わりにタコジグをつけ、キスを釣りながらタコもくればうれしいという、一粒で二度おいしい作戦を立てた。
ワタシの方はとにかく、あのとぼけたタコジグどもに不信と疑いの念を強く抱いており、小細工なし、タコジグ一個のみを流して、その有用性の検証を優先することにした。キス竿とは別に、エギングロッドにタコジグを結び、アクションもつけずにただ流す。小突きもなんにもしない。タイプは寄り目の蛍光タコをセレクトした。
で、まずキス仕掛けにけっこういいマダコが掛かる。その場面が、こちらである。
キス仕掛けのマダコのアタリは、なんというか、当然ながらキスとはちがうアタリなのである。よく根がかりのような…といわれたりするが、一応、生体反応のあるアタリをする。タコだと確信するのは、リールを巻き上げた時で、うにょーっと重くて、小さなタコだとクイクイクイと引いたりする。動画のサイズくらいになると、ご覧のようにグイグイグイ、となる。それほど重くはないんだけどリールが巻きにくい。そんな感じ。
で、次は寄り目タコジグにきたアタリ。
●タコをシメていたら、タコジグにアタリ(気の弱い方は見ないでください)
これはボートから流しっぱなしにしているので、アタリは、柔らかな根がかり→根がかりが自動的に外れる、を繰り返すようなパターンが多いような気がする。うにょーっ、すかっ。うにょーっ、すかっ。というアタリだと、たぶんタコは乗っている。
結論として、タコジグは有効である。ただし、掛かりはするが取れない。この日、一度ハリに乗って取り込めた確率は3割くらいだったか。釣り人としては、アワセを入れるか、入れないか。リールを速く巻くか、普通に巻くか、ゆっくり巻くか。くらいしか対処のしようがないのだが、とにかくよくハリから外れる。
カニなどの餌がついたテンヤなら、食い込ませるために一度糸をゆるめるのも有効な気もするのだが、タコジグだと、どうなのかよくわからない。
とにかく、かーっ。くやしい。という釣りなのである。タコへの道は、まだしばらく続く。