『立川談志 71歳の反逆児』(NHK BSハイビジョン)。

去年の夏、情熱大陸で見たので現在の談志がどういう状態であるのかは知っていた。でもね、わざわざ老いと病いに煩悶する姿ばかり出さなくてもいいんじゃないのか。とは思う。

70になりゃ、それは噺が飛ぶことだってあるだろうし、それについては談志は悩むにちがいないし、客がわかってないのも、何も今に始まった話でもない。まして九州島原まで自分でのこのこ出かけていって、「ここ、笑うところじゃない。客が変わってしまった」なんて悩む方がハズしているんじゃないか。とも思う。

談志を知らなきゃ、教えてやればいい。落語を知らなきゃ、教えてやればいい。もともと落語なんて、酸いも甘いもかみ分けた、ごく一部の人が楽しめばいいもので、中でも談志なぞは知名度は抜群にしても、本格も本格、いえばムズカシイ噺家ではないか。笑おうとして来てる客に、そこで笑うのはおかしいなんて、そんな演者と客の濃密な関係をいつでもどこでも期待する方がおかしいわけで。

そういうのは、まあ、いいとして…。

またもやNHKだ。あのくらい、ニホンの芸能と言葉に人生を傾けてきて、その最後の一滴を振り絞ろうとしている噺家のドキュメントを作るのに、あのイントネーションも何も目茶苦茶な、おのれの立ち位置をハズした女の子のナレーションをかぶせるのは、いったいどういう神経だと思う。

対比、ということなのだとしたら、底が浅すぎる。そうじゃなくて、若い、わけわかってなさそうな年代の女の子が、談志に引き合うくらいの見事なニホン語でかぶせていく程度のひねりがなくてどうする。最後の最後「長生きしてください」とはいったいなんなのだ。恥ずかしさに身をよじってしまったではないか。

はあ。たしかに時代は変わったのかもしれない。NHKが何年も追いかけて、このアウトプットしかできないのだものな。一人のプロデューサーがセコであることの罪は深い。