ウィラポンの落日
ウィラポン・ナコンルアンプロモーション。56戦51勝(36KO)3敗2分。37歳。
辰吉丈一郎に2度勝ち、西岡利晃に4度勝ち、99年から2004年の間に14度の防衛に成功した不世出のバンタム級チャンピオンが、長谷川穂積に2度続けて敗れた。もはや…、ということなのだろうか。
ウィラポンさえいなかったら、というボクサーは多いと思う。天才とまでいわれた西岡も、相手がウィラポンでなければ王座についていただろうし、ほかの団体の王座を狙えばとも思うわけだけれど、4戦して2敗2分。史上、もっともウィラポンの牙城に迫った挑戦者、ということで終わってしまった。
辰吉も、立ったまま失神して、そのまま倒れこんでいく戦慄のKO負けで、失ったものはあまりに大きかった。
家族とともにジムに住み、24時間ボクシング漬けの生活を37歳まで続ける強さは、ほかに比べるものもない。鉄壁のディフェンスと抜群のカウンター、石でもぶつけているようなパンチの強さ、帝王のようなオーラ。オールタイムランキング1位のエデル・ジョフレは原田に敗れた選手であるわけだけれど、全盛期のウィラポンに勝てるほど強かったのかどうか。
長谷川の左アッパーから左フックという変則的なダブルに、まったく対応できないままパンチを浴び続けたものの、7R、8Rにはプレッシャーをかけ始めてもいたウィラポンが、右のカウンターを浴びて下半身を麻痺させ、リングでのたうちまわる姿は、悪い夢を見ているようだった。
帝王の落日。それにしても37歳だ。