映画>博士の異常な愛情

『博士の異常な愛情』(スタンリー・キューブリック監督/1964)。

えー、つまり。とある米空軍基地の将軍が、おそらくは核への恐怖からアタマがおかしくなり、34機のB52に平均40メガトンの核爆弾を搭載してソ連への攻撃命令を出すわけです。もちろん越権行為なのですが、作戦マニュアルによってミッションキャンセルの暗号通信以外は爆撃機との通信もできない。そしてその暗号は、当の将軍だけが知っているわけですね。完全犯罪です。

あわてた大統領は、陸軍に出動させてこの将軍の身柄を確保しようとするのですが、これもまた作戦マニュアルによって基地は守備隊で固められ、激烈な戦闘が始まる。B52はあと数十分で目標到達という時点です。ところが、守備隊の降伏をみた将軍は自決してしまう。

ソ連の方では、敵国から核攻撃を受けると、自動的に「皆殺しなんとか」というマシンが作動することになっていて、これは地球上の全生物を全滅させるというものであるわけです。

そして主演の英国空軍大佐ピーター・セラーズは、見事暗号を解読して大統領に伝え、作戦は解除されるのですが、一機だけまだ飛んでいるのがいた…。しかもこの機は迎撃ミサイルが近距離で爆発した衝撃で通信機が故障。しかし、おかげで爆弾投下口のハッチも開かないのですね。テキサス男の機長は、水爆にまたがってハッチを開閉する電子回路の修理を試みます。

はらはらどきどきの末、一件落着、人類は救われたと思うでしょう。普通の映画ならそうなりますし、それ以外はちょっと考えられない。ところがですな…。

ブラックユーモアにあふれ、当時の冷戦への風刺がきいたコメディ。傑作であることは間違いないのだけれど、あの結末はなんぼコメディでも笑えません。エンディングの曲が「また会いましょう~」と流れ始めた時、暗い部屋のソファの上でしばらく呆然としておりました。

ちなみに、ドクター・ストレンジラブは、大統領のブレーンを務めるドイツ人の科学者の名前で『博士の異常な愛情』というよりも、「異常愛博士」とも呼ぶべき人名です。はっきりいって脇役でいてもいなくてもよい。これもピーター・セラーズ。これはすぐにわかったけれど、大統領までピーター・セラーズだったとは。

おすすめ度は満点。ぶっ飛びました。